夏になるともう○十年前の中学生のころのことを思い出す。街でプール授業の帰りらしい中学生を見かけて、今年もまた自分の体験をあざやかに思い出した。
当時ぼくは中学1年。身長は小柄で声変わりもまだだったけれど、自分が男好きだという自覚はあった。中学のプール授業では指定の水着のほかに、その下に穿くサポーターを買わされた。なぜかそれを見るだけでドキドキして体が熱くなった。プールびらきに先立って買わされたので6月ごろだったか。家にだれもいないときにサポーター一枚になったぼくは洗面所の大きな鏡の前に立った。
サポーターに足を通すだけでも性器にうずきが走ったが、いざ穿くと股間をぴったりと押さえつけられる感触に陰毛もない下腹部全体が熱くなり、未熟なペニスは精いっぱい伸びて固くなってい。学校指定の白い化繊のサポーターには、勃起した中学1年の小さな真性包茎のかたちがくっきり浮かんでいた。だれにおそわったわけでもなくサポーターの薄い布地の上から包皮がぴんと張った幼いペニスをさする。むずむずする間隔がぐんぐん高まり、手がとまらなくなり、やがて腰から全身に電撃が走った。
固くなっていたペニスが縮みはじめると、萎れた朝顔の花のような皮口から透明な粘液があふれていた。そう、まだ小さな睾丸は精液をつくっておらず射精もしないものの、ぼくは青いオーガズムを知っていた。
こうしてスクール水着やサポーターでの秘密の自慰が習慣になった。
ある日ぼくは自慰をおえたあと、いつものサイズになったペニスの包皮を押し下げて、萎んだ朝顔の花をほんの少し広げてみた。透明な粘液の出どころである切れ込みのような尿道口と、そのまわりのわずかに紫がかった赤い粘膜が見えた。そっと触るとひりひりとする。まだ残っている粘液を指先にとって、少ししか見えない赤い粘膜に擦り込む。痛痒くて指を離すが、またすぐ触ってみたくなる。そうやって痛痒い粘膜を刺激しているうちに、身長百五十センチにもならない中学1年生、13歳の性器はふんわりと青臭さと酸っぱさの混じった独特な匂いをひときわ強くただよわせながら、あっけなく再び勃起した。無毛の根元から、まだ血管も浮かんでいないつるりと生白い幹、そして皮が余っている先端まで、筆箱から出した定規をあてて計ると八センチ半だった。
ぴんと突っ張ったペニスをさすりながら、いつしかぼくが想像していたのはプール授業で見かけたクラスメイト男子の水着の股間のふくらみだった。スポーツが得意なあの子……学級委員のあの子……ぼくより背が低いのに水着が大きく膨らんでいたあの子……みんなぼくみたいに、固くなったちんちんを弄ってるんだろうか……ああ、見たい……そして声が低くなっている上級生たち……きっとちんちんも大きくなっていて……精子も出るように成長しているんだろうな……ああ、見たい、見て……さわりたい……さわられたい……。
頭のなかをそんな妄想でいっぱいにしながら手をみだらに動かすうちに、精子がまだ出ないぼくの未熟な陰茎は皮ごしに亀頭のかたちをうっすら伝えながら、大きくぴくんぴくんと跳ねて……また透明な粘液が皮口からぬるりとにじんだ。
夏休み前、ぼくは自慰をしながらも射精を知らずにいた。
(続きます)