週に一、二度ほどのペースで兄との関係は続いた。
が、冬のある日、兄は知り合いの女子を家に連れてきた。
僕はリビングで遊ぶよう言われた、その通りにしていたが。
マンガが読みたくなり、部屋に入った。
「ばか!入ってくんな!」
そこにいたのは一糸纏わぬ兄と女だった。
肌を重ね合い、兄の性器が女の中に入っていた。
初めて見た兄の怒った顔に、慌てて部屋から飛び出た。
怒られた...。
そのショックもあったが、それ以上に得体の知れない感情が僕の胸に込み上げてきて、僕は泣いて家から飛び出していた。
雪が降る中薄着で泣いている僕を通り過ぎる人が振り返るが誰も声は掛けてこない。
寒い...でも帰りたくない。
公園の遊具の中に引きこもる。
こんな日だから遊んでいる子はいないのがせめてもの救いだ。
兄を盗られたような気分だった。
僕のお兄ちゃん。
僕だけのお兄ちゃん。
僕しか知らないはずだったお兄ちゃんのあの顔を、あの女はいつから見ていたのだろう。
胸が苦しくなった。
嫉妬とはこういうことを言うのだろう。
僕は蹲り、声を殺して泣いた。
お兄ちゃんをもう愛せないことがつらかった。
気付くと僕は自室のベッドの上にいた。
「あれ...?」
外は真っ暗。
時計を見ると午前2時になっていた。
「ばか。心配させんな」
兄が隣に寝ていた。
目が少し赤く、腫れぼったい気がした。
「お兄ちゃん...」
手を伸ばそうとしてやめる。
だめだ。
もう僕が触れちゃいけないんだ。
そう思った矢先、僕は兄の胸の中にいた。
ぎゅっと優しくも強く抱き締められる。
「お兄ちゃん...?」
「黙って寝ろ」
「お兄ちゃん...」
頭が覚醒していくにつれて、先刻の光景が蘇る。
「...しよ?」
「あ?」
「おちんちん、触らせて...?」
初めて自分から求めた。
「お兄ちゃん、ごめんね」
ごめんなさい。
きっと、いけない気持ちなのは分かってる。
分かってるけど。
恋人同士がする行為はこれだ。
僕は知り得た知識をフル動員させ、兄の唇に自分の唇を重ねた。
怒られる。拒絶される。
それを覚悟したが、兄は僕を受け入れるように、再びぎゅっと腕に力を込めて抱きしめてきた。
兄の舌が唇をなぞる。
そして、ぐにぐにと口の中に入り込んできた。
「んん...っ」
カラダの中心が熱くなるのを感じた。
抱きしめ合い、本能のまま貪るようにキスをする。
「お兄ちゃん、好き」
それ以外考えられない。
快感と興奮でぼぉっとする頭の中は兄でいっぱいだった。