その日は忙しく、夜遅くまでお客様が途絶えることが無く、仕事が終わるのも必然的にいつもより遅くなった。
アルバイトの学生さん達が帰った後、事務所で事務仕事を終わらし帰り支度をしていると、裏口がそーっと空いて匠が顔を出しました。
「店長−、まだ帰らないんですかー?」
「今帰るとこ。友達には今日もフラれたんか?」
「そーなんです。今日も泊めてくださいね。」
なんて笑顔で言われると、断ることなど出来ず。
結局昨日と同じく、コンビニで晩飯を買って、二人手向かいあって食べる。
匠が風呂に入ったので、そのうちに片付け。
あれ、今日はやけに長いな−、と感じながらも他人の家で一人の空間になれるので、リラックスしてるんだろうと思って待つ。
ガラガラと扉の開く音がして、火照った匠が出てきて入れ替わりに俺も入る。
風呂の中で今日のこれからの作戦を立てる。
それは、布団に入ったら匠より先に寝てしまう。というもの。先に寝てしまえば匠の動きに惑わされること無く、誘惑に耐えることも無い。
風呂から上がって作戦決行。
「匠、俺はもぉ寝るぞ。テレビ見たかったら見てて良いからな−。」
と、俺だけ早く寝る作戦にでる。
「えー、俺も寝ますよ。」
って、ベッドに入ってくる。
失敗。。。
こうなったら、と、目をつぶって先に寝る。
モゾモゾと匠が動いているのは感じるが、気にせず寝ることに専念。
なんとか眠くなってきて、ウトウトし始めたとき、また匠の手が俺の胴体に巻き付いてきた。
そして、今日はワサワサと俺の身体をなでるように動きながらくっついてくる匠。そんな時、
「てんちょー、俺今日勉強頑張ったんですよ−」
と、耳元で囁く。
「ん、そぉなん?」
「そぉなんです。休み時間も放課後も、ずっと勉強してました。男同士のセックスについて」「!?!?!?!?」
はい、俺、パニック。
「てんちょー気付いてないんですか?昨日俺の手でイッたのに」
「え、、、」
「顔真っ赤でしたよ。すごく可愛かったです」
笑顔で爆弾発言を投下してくる匠に、何も言えず。
「学校で勉強したことは、家で復習しないと。」
いやいや、そこは真面目にしなくても。