俺は180、75、30のちょっと太目で毛深めの熊みたいなやつ。チェーンの飲食店の店長です。
そして、二ヶ月ぐらい前に採用した匠君、170、52、17の今風高校生。
仕事はテキパキと熟し、社交性もある明るい子。
とある日、匠が「今日から両親が二泊三日の旅行なんで、ゲームし放題ですよ」なんて話をみんなで楽しそうにしていた。
へーっと何となくその時は思っていたけど、特に気をとめては無かった。
そして、高校生なので21時で退社し、早々と帰って行った。
俺は店の閉店までいたので、24時頃にやっと店を出て徒歩で帰宅。
帰り道に近所のコンビニで晩飯を買おうと立ち寄ると、匠が雑誌コーナーで夢中になってマンガを読んでいた。制服を着たままなので、大丈夫かな?補導されても大変だなと思って帰りに声をかけてみた。
「匠、早く家帰って寝ろよー」なんて、後ろから突然声が掛かったので、すごく驚いてました。
「あ、店長!ビックリさせないでくださいよ。」
なんて話してたけど、何となくテンション低め。
「どうした?」って聞いてみると、
「両親が今日から旅行なんですけど、俺、家の鍵忘れてきたみたいで、家に入れないんですよ。。。」なんて、犬みたいにショボン。。。と。
「え、大変やん。家入られへんの?友達とか当てないん?」
とか、聞いてみたが、泊まれるところは無かったようで、コンビニで朝まで時間を過ごそうとしていたらしい。
近くのビジネスホテルでも泊まらせようかなんて考えていたところ、
「店長の家とか、ダメですか??お風呂とか貸してもらえませんか?」
なんて、哀しそうな目で見られたら、ひとたまりも無く。。。
結局、晩飯と匠を連れて帰ることに。
俺の家は普通の賃貸アパート。
広くは無いけと、ほとんど何も無い殺風景な感じ。
とりあえず、ささっと味噌汁作って、二人で向かい合って、買ってきたコンビニ弁当を食べる。
日頃は自炊しているが、疲れた日は適度にコンビニ使ってサボる。だからこそストレス無く生活しているのだと思う。
匠がなんだかそわそわ。他人の家は落ち着かないのだろう。
片付けも手伝うと言ってくれたが、断って先に風呂に入るように促す。