泥水とは別の液体で濡れはじめた先っぽを爪で水着越しに弄くりながら、時々腰を浮かせ、もう片方の手で裏筋や袋をコチョコチョくすぐります。
木の上であそこを弾ませるような恰好になり、パンツの伸縮も手伝って股間全体に揉み込まれるような感触。
そこへ水着越しの爪繰りを絶えず上書きして、私は自分の幼い性を自分自身の手でひたすらいじめ続けました。
思えばあの日、プールの中でされて一番感じてしまったのはくすぐり攻撃でした。
水着の伸縮や締め上げ、フィットを意識させられるようなまさぐりの後、薄布の向こうで猛烈に指を蠢めかせた痴漢。
指がナイロンを滑るたび締めつけの中で粘液質の刺激が撹拌され、快感が跳ね上がって水着の繊維に舐め上げられているような感覚に襲われて…
12歳の性器は水着の虜になってしまったのでした。
コチョコチョ…モゾモゾ…モゾモゾモゾモゾ…
くすぐりに揉み擦りも織り込んで、水の浸みた繊維にシュルシュルグチュグチュ音を立てさせ、私はフィット感とウェット感に狂いました。
水着はそんなちゃくちゃな責めにも動じずあそこを守り続けていましたが、刺激を遮る機能はなく、むしろ指と共謀して未熟な性器を翻弄するばかりです。
あまつさえ化繊に浸みた水が潤滑剤と化し、モゾモゾ刺激をいっそういやらしく…
我を忘れました。
ぬめりあるきつい締めつけと激しいくすぐりの中、恥ずかしくいやらしい記憶で頭が沸騰し、わけがわからなくなりました。
「えっちぃ、えっちぃっ!恥ずかしいっ!えっちぃっ!」
傍から見れば気の触れた子供と見えたに違いありません。演技か本心か自分でも分からないような言葉を漏らしながら腰を弾ませました。
指はもうナイロンの皮膚を掻き壊す勢い――張りつめた濃紺生地が激しい揺さぶりに細かく滑って、裏地に絡みつかれたあそこを上下左右小刻みにヌルヌル摩擦します。
「あ、あ、水着っ、恥ずかし…っ!ピチピチ…っ!えっち、エッチ…!!!」
目撃されたら恥ずかしいどころではない乱れようでした。
扱いたり擦りつけたりとは違う、決定的な刺激を与えないいじくり方のせいで、興奮の度が沸騰寸前のままどこまでも上昇しておかしくなってしまったのだと思います。
じっとり湿った木の上で腰を前後させながら、妄想を声にまで出しはじめました。
「や、触られてる、恥ずかしい、パンツ、触られてる…っ!水着の、パンツ…っ、えっちぃ、パンツ…触られてる…っ、あっ、あっ、あっ」
頭の中であの日の続きがはじまっていました。状況に合わせてプールの外で、濡れた水着の上からされているところを想像していました。
パンツの着用感をそのままに性をなぶられ、冷たく濡れた化繊が先の方をちゅぴちゅぴ擦って――
「それっ、ダメ、パンツいじくるの…エッチぃ…っ!」
嬲られる水着を見下ろし、いやらしく光沢を放って浮き沈みする皴を目にした瞬間、
「あ!!」
目への刺激が呼び水になって、イク寸前の、尿意とは別の何か漏れそうな感じが一気に湧き上がってきました。
「あ、ヤッ、ダメ、漏っちゃう!ヤだっ、漏っちゃう、漏っちゃうっ!」
圧迫すればあっという間なはずのこの状態が妙なやり方のせいで十数秒続き、私はその間いっそう幼稚でいっそう倒錯した呟きを垂れ流すはめになりました。
「触られて…パンツの中…きもち…っ!穿いてるのに…水着のパンツ…穿いてるのに…!」
激しい腰振りと脚クネ。
「漏れるっ、漏らされるっ…チカンで…漏らしちゃう!…水着なのにッ、ミズギっ…パンツなのにっ…チカンっ!パンツに、チカンッ…パンツ…パンツッ、チカンっ!」
止まりそうになる指を必死で動かし続け、腰をくねらせてパンツの着用感を意識し続けました。
「チカンっ、エッチっ…水着、パンツっ、いじってエッチぃっ!モゾモゾ…漏らしちゃうっ!パンツっ、水着…!エッチになっちゃう!」
そして――
「えち、えちぃッ、ミズギ…漏れ…ッ…あ、あ!ああ!!!」
股間をキュンキュンさせる濁流が水着ごと腰をめちゃくちゃに洗ってくる…うまく喩えられませんが水着に覆われた場所全体に快感を覚えるような強烈な波に襲われました。
あそこがポンプになったみたいに何度も脈打って中身を絞り出し、全身は痙攣したようになって、本当に頭が真っ白になりました。
地面に崩れ落ち、少なくとも五分はそのまま放心していたと思います(このとき寝てしまっていたかもしれないと思うとぞっとします)。
我に帰った私はぐしょぐしょの水着を脱ぎ、出たものの量に驚くのもそこそこに肌についたものを水着の汚れていない部分(泥水まみれですが)でふき取った後、水溜りでそれを濯ぎました。
もちろんそれで汚れが落ちるはずもなく、後で取りに来て洗おうと決め、錆びたトタンの被いがある資材の隙間に押し込みました。
後始末を先延ばしにしたので帰りはあっという間でした。ブリーフ、体操着を手早く身に着け、辺りを窺いながら家へ、そして忍び足で部屋へ、何の危険にも見舞われず戻れました。
時計を見ると一時間も経っていませんでした。家からやや離れた場所で、しかも一度ほとんど意識が飛んだようになったこともあって驚きましたが同時に安堵しました。
疲れ果てており布団に入るなりすぐ眠りに落ちましたが、直前、私はオナニー後にありがちな「何をやってるんだ」という気持ちではなく、妙な達成感に包まれていました。
一年間の夏に始まった焦らし責めから、ようやく絶頂に至って解放されたという感じでしょうか。
やっと望んだ形で達することができたという、幸福感にも似たじんわりとした暖かさの中で熟睡したのを覚えています。
もっとも、それで性癖まで解消されたわけではありません。
それどころかまもなく始まった水泳授業で、私は競泳パンツ特有の着用感に魅せられて余計に性癖をこじらせることになります。