そう、俺がはいろうとしているのは、大人の玩具屋(アダルトショップ)なのだ。
古びた店内に入ると奥のカウンターで暇そうにテレビを見ているオヤジの『いらっしゃい』という声が聞こえてくる。
おっかなびっくりで俺の後に付いて店内に入った健一は、おそらく初めて現物をみるであろうチンポの形をしたバイブやオナホール、ダッチワイフやSM道具などを不審者のようにキョロキョロ見回している。
俺は奥のオヤジに顔をのぞかせると、オヤジは俺に『おう、久しぶり今年はまた若いお連れさんで(笑)』
と言い、カウンターから身を乗り出しかげんで健一の方をみる。
俺は、オヤジにカウンターの前に置いているローションと健一の目を盗んで棚からとったオナホールを差し出し金を支払うと
はいよ、『いつものオマケ』とオヤジは金を受け取りそれらとオマケを紙袋に入れ俺に渡してくれた。
オヤジは色々な商品を興味深く見ている健一に『兄ちゃんも何か買うかい??』と声をかける。
健一は、気まずそうに黙ったまま首を横に振り愛想笑いをしている.....
俺は紙袋を丹前の裾に入れて、ある商品の前で立ち止まっている健一に近寄り小声で
俺「これ気持ちいっぞー」
と、オナホールのサンプルを手に取り健一に手渡す。
健一「えっ、いいっすよー」
と、焦り気味にすぐさま俺に返してくる健一。
俺「どした!?遠慮せんと手に取ってみてもいいぞっ。客って俺らだけやし、オヤジは知り合いみたいなもんやから(笑)」
と、異空間に萎縮している健一に言う
健一「でもー.......」
と、躊躇する健一に
俺「ほらっ、これなんか俺の倍くらいあるわ【俺ら】と形も違ってズル剥けやしなぁ(笑)こんなん女がアソコへ入れてアンアン言われたら俺自信なくすわ(笑)」
と、隣に陳列しているバイブを手に取り健一に話しかけるが
健一「まぁ.....そうっすかね......」
と、健一はあまり乗り気のない返事をする。
ふと、店の時計に目をやると20時前を示してる。
そんな健一の様子に、これ以上ここに居ても健一の機嫌を損なうだけだし、そろそろ時間も、と思った俺は
俺「オヤジ元気しててやぁ。じゃあ、また来年なー」
と、オヤジに声をかける
そんな俺の背中で
『兄ちゃんらも元気でなー。ありがとなー』
とオヤジの声がし、俺らは店を出た。
俺「さてと、そろそろ帰っか!!
健一、もうコレしか頭にないもんな(笑)」
と、俺は笑いながら(俺の)腰の前辺りで右手で棒を握るような輪っかを作り上下に振る仕草をして健一のご機嫌を伺ってみる
二人並んで歩き出した俺に
健一「もうっ、それって俺だけっすかぁ!?中村さんもっ!!」
と健一が、横から俺の脇腹を肘で小突く
店内では借りてきた猫のようだったが、外に出た途端にいつもの健一に戻った健一に
俺「どした??初めてでキンチョーしたか??(笑)」
と聞いてみる
健一「当ったり前っすよぉ!!初めて見るのばっかやったし、(店の)空気が.....
でも、あの、お●●(関西で女性器の名前)の形したやつマジで気持ちいいんすかぁ??
それと、ピンク色の紐ついたちっちゃいやつってなんなんすかぁ??
それから、真っ黒の剥けチン........」
と、次から次へと健一は俺を質問責めにしてくる
すれ違う人も多いメインの通りで周りを気にせず話しかけてくる健一に
俺「おいっ!!もうちょい声小さくしろっ!!周りに聞こえたら変態やと思われっぞ!!(笑)」
と俺は健一の耳元で注意する。
健一「あっ!!すいません(笑)でも、エロかったなぁー、みんな.....」
と、下を向き小声で感慨に耽(ふけ)りながらおれの横を歩く健一
健一「やっぱ寒いっすよねー○○(地名)って!!
それと、あそこで何買ったんすかぁー!?中村さん」
と、健一は俺が買ったものが気になるようだ。
俺「今年は特に寒いかもなぁ......
あっこれ!?(丹前の裾を指しながら)部屋戻ったら見せてやるよ!!
健一【に】使ったら狂ってしまうかも、やけどな(笑)
それにしても寒いなぁ.....
おおー寒いっ!!」
と、意味深な返事を健一にし、お互い丹前を羽織った肩をすくめながらカラコロと下駄を鳴らしながら旅館に戻った。
旅館に戻ると、フロントで何か忙しそうにしていた兄貴が俺らを見つけ
「おっ!!、お出掛けしてたか。で、何か土産でも買ってきたんか??」
と声をかけてきた。
俺「いやっ、別に、何もなっ!!」
と、含み笑いをして健一を見ながら兄貴に答える。
さすが兄弟だけに俺の態度にピンときたのか
「布団あんまり汚すなよ(笑)」
と笑いながら兄貴はフロントの裏にドアを開けて入っていった。
※実は去年も一昨年もある物の鑑賞会からオナ大会になりローションで布団のシーツを汚してしまった前科があるからだ