去年の8月くらいの出来事。
仕事から帰宅中、トイレに行きたくなり、自宅そばの公園に立ち寄った。
用を足して出ると、ベンチに誰か横になっているのが見える。
茶髪ミディアムの髪形、スリムですらっとした若い体つき。イケメンっぽかったので、さりげなく通るふりをして近づいてみた。
すると、山崎賢人をちょっぴりヤンチャそうにしたような顔だちの、ハタチくらいの子が寝ている。そばにはマウンテンバイクと、大きめのリュック。
野宿かな、と思ったけど、この公園は夜を過ごすには少し危険な場所だったので、声をかけてみることにした。
体をゆすると、ポカンとした表情で目を覚ます。
目はやや切れ長、全体に山崎くんよりシャープな感じで、めっちゃかっこいい。
ドキドキしちゃってるのを隠すように話してみる。
「起こしてごめん。君ここで野宿?」
「あ、はい。ホテルとかとってないんで…」
「ここな、夜中にガラの悪い連中がたむろするから、寝るのはやめたほうがいいよ(実際、不良どうしの傷害事件とかあった)」
「そうなんすか? すいませんっす…。このあたり、他に公園とかないすか」
「ないんだよなぁ。泊まるとこないなら、うちに来てもいいけど」
「いや、そんな急に悪いっす」
「このへん、野宿できるようなとこ本当にないし、歓楽街も近くて物騒だから。それに俺ひとり暮らしだし、あした土曜で休みだから、気にしないでいいよ」
「そんなら、お邪魔してもいいすか?」
「むさくるしい部屋だけどな」
こうして、イケメンに一晩の宿を貸してやることになった。
続く。