続きです。
映画が終わり、場内が明るくなる。
スタッフロールも終わって、暗いうちに他の人たちは出て行ったのだろう、人もほとんど残っていなかった。
俺「晃一、もう終わったよ?」
晃一「あ。すみません・・・」
俺の方を掴んでうずめてた顔がやっとあがる。
俺「大丈夫?落ち着いた?」
晃一「はい、大丈夫です。すみません、出ましょうか。」
晃一の気持ちが落ち込んでいるのがあからさまに分かるくらい声のトーンが小さかった。
映画館を出て、車に向かう。
晃一は相変わらず俯いたまま俺の後をついてくる。
俺「あ、そうだ!晃一。メシどうする?どこで食べる?」
晃一「え?あ・・・そうですね。まだ決めてませんでした。」
俺「そっかぁ。うーん、じゃあ近くのファミレスで食べるか!」
そう言って俺は車のエンジンを掛け、車を走らせた。
車内では沈黙が続き、かけていた音楽だけが流れる。
かける声を絞り出そうとしたが出てこない。
そしてファミレスに到着。
店員に案内されて周りに人がいない角に案内された。
席について晃一と向かい合う。
俺「よっしゃ、じゃあメシ俺が全部奢るから何でもたのめ!!」
晃一「え!?・・・でも今日はちょっと申し訳ないです。」
俺「え?なにが?俺は今日すごい楽しかったけど。」
晃一「だって、映画館で迷惑かけてしまいましたし・・・」
俺「確かにあれはびっくりしたなぁ(笑)後半身動き取れなかったし(笑)」
晃一「すみません・・・」
俺「冗談だよ(笑)てか迷惑だなんて全然思わなかったし、それに俺も実はだいぶ怖かったからね・・・晃一があんな事しなかったら俺がきっとしてたと思うわ(笑)」
晃一「慧さんも怖かったんですか?」
俺「当たり前だろーあんなでっかいスクリーンと、重低音の聞いた良いスピーカーからドーーン!なんて音出されたら誰だって心臓縮むわ!笑」
晃一「そうですよね!?あんなの反則ですよ!もうっ!」
晃一がちょっとだけ元気を取り戻したようだ。
俺は「ほれほれ」と言いながらメニューボードを押し付けた。
晃一がメニューを決めたところで店員を呼び、俺も晃一が頼んだハンバーグセットを頼む。
俺「しかしさっきの映画館。前の席のカップルいちゃコラしててうっとおしかったなー」
晃一「慧さんも思ってました?ほんとですよ!あれいちゃコラ目的で絶対観に来てますよっ、ったく!もぐもぐ・・・」
口が膨らむぐらい頬張りながら悪態をつく晃一。
晃一には悪いが、年齢知らなかったら小・中○生にしか見えないくらい幼く見えて思わず噴出しそうになった。
俺「まぁ〜その後俺の真横でいちゃコラしてた人がいたんだけど(笑)」
晃一「うっ・・・だからすみませんって〜」
俺「それにあの時、前の歓迎会帰りの車ん中のこと思い出したわ(笑)」
晃一「え?あっ!・・・」
晃一の食べる手が一瞬止まり、みるみるうちに顔が赤くなった。
(あ、やっぱり覚えていたんだ。)
そう思いながら、気にしていないふりをしながら食べる。
ご飯を食べ終わって会計を済ませる。
晃一「えー本当にいいんですか!?」
俺「いいっていいって。晃一が俺なんかを誘ってくれたお礼!」
晃一「ありがとうございます!じゃあ半端の3円ぐらい払いますね♪」
俺「ちょーしのんな(笑)」
すっかり元気を取り戻した晃一を家まで送る。
車内は最初会話をしてたが、晃一の家が近くなるにつれて口数が減っていた。
そしてまた沈黙になり、しばらく続いて突然晃一が口を開く。
晃一「・・・前の飲み会の帰りの事、どう思ってます?」
俺「え?・・・どうって何が?」
晃一「その、あんな図々しいこといきなりしてしまって、慧さん嫌だっただろうなぁ〜って・・・すみません(笑)最後の最後に変な空気にしちゃって。」
車はもう家の前まで着いていた。
俺「ん?あ〜!あれか」
と言って。俺は晃一の頭を撫でた。
晃一「え!?慧さん!?」
俺「まぁー嫌だったら今日みたいに映画の誘いなんて受けなかっただろうな(笑)当然今日も嫌じゃ無かったよ?びっくりはしたけどね〜」
そういいながら晃一の頭を撫で続け、最後に軽くポンッと叩いて離した。
俺「ほんじゃお疲れ!今日はありがとうな!また一緒に遊びに行こうぜ〜」
晃一が車から降りて軽く会釈をし、歩いていくのを運転席の窓を開けて見送る。
数歩歩いたところで突然振り向き目が合う。
晃一「・・・kらさん。」
俺「んー?」
晃一「・・・えっと、、お疲れ様です!」
何か言いたげな雰囲気だったが、そのまませを向けて帰っていった。