コメントありがとうございます!
文章にするの中々難しいですね・・・皆さん凄いです。
続きです。
そして翌週の土曜日。
待ちに待った日がやってきた。
この1週間は小学校の修学旅行の前みたいに長く長く感じた。
朝目覚めると晃一からメールが届いていた。
《おはようございます(^O^) 待ちに待った映画見に行きますよー!》
文面から見てもテンションが高いことが分かる。
画面を見て朝から癒されるひと時だった。
《おいっすー!俺はもう準備万端だよー!\(^o^)/》
・・・と布団の中から返信する。
《え!早過ぎですよ!(笑)午後5時に駐車場集合なんで遅刻しないように( ̄+ー ̄)》
晃一のたまに出る上から目線。これが他の高校生の誠や真也が
言っていた「坊ちゃん」と言われる所以なのか、
俺はたまに見せる「S」の晃一が面白可愛くてしょうがなかった。
わざとらしく適当にあしらって、メールを終えた。
そして時間になり、集合場所であるバイト先の駐車場へと向かう。
気持ちが高ぶってか、いつもタメの友達とかと遊ぶ時は
ギリギリか遅刻気味な俺が15分も早く来てしまった。
さすがに駐車場に居座っては、今働いている他のメンバーに
不思議がられるので、事務所に寄りシフト表を見たりと時間を潰していた。
頃合い見て車に戻る。と、ちょうど車に向かってきた晃一とはち合う。
晃一「あ、慧さん。待ちました?」
俺「全然〜ちょっとシフト確認しに行ってたわ」
晃一「そうですか、よかった。じゃあ行きましょうか。」
さっきのメールとは打って変わってクールな感じの晃一。
(ん?なんかテンションがさっきのメールと違うぞ?)
文章と本性は違うとは聞くが、これがいつも見ていた
方の晃一だったので、特に気にはしなかった。
俺「で、何観るんだっけ?(笑)」
晃一「あれ!すみません言ってなかったでしたっけ!
あれです。監視カメラとポルターガイストのあれです!」
俺「あれか!てか晃一ってホラー得意なん?」
晃一「まったく駄目です!」
俺「え(笑)それ大丈夫なん!?ビックリ系だと思うけど・・・」
晃一「まぁー慧さんいるし大丈夫かなって(笑)もうチケット取っちゃったですし!」
俺「まあ俺はホラー大丈夫だけど・・・」
俺はこの時この先穏やかに進まない気がして仕方なかった。
予定だと6時に映画を観て、9時ぐらいからどっかでご飯を食べる予定だ。
そして映画館内へ。
俺にとっては高校生ぶりの映画館。
久しぶりに来るが、館内の清潔なにおいとフードコートから香るポップコーンの匂いが今でも好きだ。
晃一と歩きながらその匂いにぽけーっとしてると、
晃一「慧さん(笑)なんかまぬけな顔になってますよ(笑)」
俺「え!あ!ごめんごめん(笑)てか晃一笑いすぎ!(笑)」
またもや後輩に見られたくない顔を見られてしまった・・・
めちゃくちゃ恥ずかしかったがしばらく笑っている晃一を見て、
バイト中では見せない一面を見ることができた。
上映前。
俺「本当に大丈夫なん?(笑)引き返すなら今だよ〜?(笑)」
晃一「余裕ですよ!あの「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」の映画も
全然大丈夫だったんで!慧さんこそ大丈夫なんですか〜?(笑)」
俺「う〜ん、この映画ものすごい怖いって言うからなぁ、俺でも無理かも・・・」
晃一「え・・・本当ですか?・・・それ。」
俺「まぁもう逃げれないけどね・・・(笑)」
と同時に場内が暗転。
晃一の顔を見るとあからさまに顔が引きつっていた。
ちょっとやりすぎたかなとか思いつつも、予告映画を淡々と観ていた。
上映中。
晃一が一言も発しない。というか物音ひとつ発しない。
寝たのかと最初思ったが、目はばっちり開いている。
が、顔が完全に強張っている。
(相当怖がりなんじゃないか・・・?)と思っていると、
「ドーーーーン!!!!」
その効果音に俺も一瞬ビクッっとした。
と同時に隣から、
「ひゃっ!!」
そんな声、漫画の吹き出しでしか見たことなかったが、
晃一が小さくビクッとしながら声をあげた。
俺「(結構びっくりするねこれ)」
晃一「(俺けっこうやばいかもです(笑))」
そう笑って言いながらも、本当にやばそうだった。
そしてしばらくすると、
「ドーーーーン!!!!」
映像とともに体を打ち付けるような音。
周りの観客からも悲鳴が上がる。
俺・晃一「うわぁ!」
同時に叫んだ。
と同時に、晃一が俺の肩に顔をうずめる感じでしがみついた。
突然のことで、一瞬状況が把握できなかった。
俺「だ、大丈夫?」
晃一「・・・・・・。」
しばらく俺の中で時間が止まったかのように思えた。
映画の映像も音も聞こえないくらいに。
俺「晃一?」
晃一「・・・すみませんしばらくこのままでお願いします。」
俺「・・・おう」
俺はしがみつかまれている肩がふるふると震えているのがわかった。
何も言わずに、晃一の頭に手を乗せる。
だんだん自分の鼓動が速くなるのがわかる。
乗せた瞬間、ビクッとなったが、落ち着いたようで震えがとまった。
しかししっかりと肩はつかまれて顔をうずめたままだった。
撫でようと思ったが、そこまで勇気がわくはずもなく、
そのまま映画はエンディングを迎えた。