こんばんは。最近常に眠い…。夏は体がだるくなりますね。そうめんが主食になってます。アキラさん普通に肉とかがっつり食うからうらやましい…。今回なんか会話だらだらしてます。
コメントお返し。
ゆうやさん、コメントありがとうございます。彼氏さん、若い!いろいろ経験してきた人の話とか聞くの勉強になります。みんなそれぞれいろいろありますよね。ゆうやさんに出会えてよかったですね!
続きです。
「話が違うんですけど…」
着いた瞬間、つっこんだ。聞いてた通り、スタッフは少なくて代表合わせて6人。在籍がいつも十●人だからかなり少ない。後から同伴で3人来るからって言われたけど、それでも店の広さからしてみると全然足りない。
最初に言った話が違うって言うのは、そんな感じの状態だから出来るだけ今日は営業は控えて、アキラさんのエースを迎え入れるみたいな話だったのに。
俺らがついた時は、ほとんどのテーブルに誰かが来る予定なのかたくさんのボトルが置かれてた。
「あ、俺がホスト一日復帰―ってみんなに送ったら、来てくれるって子がいっぱいいてー!みんな覚えててくれたんだよなー嬉しい」
横からそんなことほざくのは、やっぱりキョウスケさん。なんとなくは予想してたけど。
(ほんと空気よめねーなこの人…)
そんなキョウスケさんだけど、ホスト時代はずっとナンバーワンで、アキラさんはキョウスケさんに勝ったこと数えるくらいしか無かったらしい。前にアキラさんが悔しそうに話してくれた。
「マサキ君…なんか、俺緊張してきたー!」
「大丈夫だよ。お前は、ここにいる誰よりイケメンだから…」
不安そうに笑いながらこっちに来るユウトにそう言ってやると、照れながら笑ってた。実際、アキラさんに連れられて代表に挨拶に行った時も、すげー喜ばれてたしめっちゃスカウトされてた。(俺には何にもなかったのに…)
(俺、童貞捨てるんなら、ユウトがいい…)とユウトの笑顔を見て、そんなことも思ってしまう。(その頃はまだアキラさんのケツ開発しようとか思ってなかったから。笑)
開店前のそんな雰囲気の中、内勤の人が色々基礎動作を教えてくれる中、アキラさんも色々電話かけたり忙しそうにしていて、結局ほとんど喋れずに開店の合図の音楽が鳴った。
開店から2時間。俺は既にへばってた。開店した直後からキョウスケさんの昔のお客さんがきて、文字通りヘルプのみなんだけど、そのヘルプの数が誰かさんのせいで半端ないことになってた。売上は上げようとかしなくてもいいって言われたから、飲んではいなかったけど。
でも新規はつけないって言ってたのに、場内指名をもらったらそんなことも言ってられなくて、ほとんどアキラさんと会話すること無く、バタバタ時間が過ぎてった、そんな時。
いなくなったなって思ってたアキラさんと一緒に一人の女の人が入ってきた。ブランドなんてさっぱりわかんないけど、なんか持ってるもの全部が高そうな。アキラさんの顔とか店長の態度とか見て、この人がアキラさんのエースなんだなってすぐわかった。
席に通されて、アキラさんと親しげに話してる姿を見て、なんか今までの女の子達と違って、その特別な感じになんかモヤっとした。平常心、平常心…と思ってると、内勤さんにアキラさんのいるテーブルに行くよう指示された。
「はじめまして。マサキです」
「マサキ、やっと来た!美香さん、この子が話してたマサキだよ」
2人に笑顔で迎えられた。美香さん、って呼ばれたその人は、遠くから見るよりは年齢いってるかな?と思ったけど、モデルさんみたいに綺麗な人だった。
(話してたって?俺の話?なんで?どんな?)
「よろしく、マサキ。アキラから話は聞いてるわよ。まだ若いんじゃない?」
「21です(当時)アキラさん、俺の話って悪口とかですかー?やめてくださいよー」
あくまで、仕事先の先輩後輩みたいなていで明るく話す。そんなしてる時、内勤さんがアキラさんを呼びに来た。普通は新人一人残して担当ホストが離れるなんてありえない。
「マサキがいるからいーわよ。あんたはいなくても。さっさといきなさいよ。そして戻ってくるな」
そんな風に言われて、内心(えぇー!?)て感じ。
「美香さん、ひどくない?なんかマサキもだけど、俺の周りが最近ドエス化してる…」
「いいからさっさと行けってば。私はマサキと浮気しとくから」
ひどいこと言ってるようだけど、美香さんもアキラさんもずっと笑ってた。それが逆に、そんな2人の間に見えない絆があるみたいで、なんかちょっと落ち込んだ。それでも、アキラさんのエースのつなぎを任されたんだから、中途半端なこと出来ないと思って、ボトルを持ってドリンクをつごうと思ったら、そのボトルが扱ったこともほとんどない高級ブランデーなのを見てちょっと手が震えた。
ちょっと震えながら酒を注ぐ俺の手を見ながら、美香さんがすごいニコニコ笑ってくる。情けないホストだなーと思われてんのかな、とか思ってたら、いきなり話しかけられた。
「今日は指輪してないの?」
「え?」
急に言われてちょっとパニック。頭の中をハテナが飛んでた。
「ええとー…」
「アキラがあげたやつよ。いいデザインでしょ?うちのやつなのよ、あれ。ペアでつけてるって聞いてたけど…」
「あの、何のことですか?」
「ああ、2人が付き合ってること、アキラからは全部聞いてるから、隠さなくてもいいわよ。ずっと会いたかったのよ、マサキに」
言われた瞬間、完全に思考停止。多分、俺はすげー変な顔してたと思う。
(え?知ってる?なんで?この人、アキラさんのこと好きで通ってんだろ?え?)
お客さんの前で一切無言になってしまうっていうのはその日初めてのこと。それぐらい頭の中がわけわかんないことになってた。そんな俺を美香さんが困ったような顔で見てきた。
「ごめんなさいね、ホストが客に自分の恋人のこと話してるなんて、わけわかんないわよね?でも、私はアキラと色恋で繋がってるわけじゃないから。大丈夫よ。今までの彼女の話も全部聞いてきたし」
「色恋じゃないって…。それなら、なんでアキラさん指名してるんですか?」
「うーん…アキラは、私の恩人なの」
美香さんの話によると、5年前ぐらい。不妊治療の末にやっとのことで出来た子どもを妊娠7か月の時に自動車事故に巻き込まれて、流産。その時に破裂した子宮も一緒に取り出してしまったらしい。
自分のせいだって責めて、お酒に依存して、身体も心もボロボロで死にたいって思ってた時に、たまたま飲みに来たのがこの店で、たまたまついたのがホストになってまだ1か月そこそこのアキラさんだったらしい。
「軽くアル中入って、殺せ殺せ喚きまくって、どの店に行ってもめんどくさい客としか見られてなかったんだけど…。アキラがさ、号泣しながら絶対ダメだって言うのよ。ホント笑えるぐらいに号泣して。最初は、お客の目の前で号泣するとか、どんなホストよ、ってドン引き。お酒も冷めちゃって、最後には私がアキラを慰めちゃったりして。でも…なんかスッキリしたの。なんか、聞けなかった赤ちゃんの泣き声をやっと聞けたみたいな…バカな話だけど、そんな風に思えちゃったのよね」
優しい顔でそう話す美香さんの話で、そんなアキラさんの姿は簡単に想像ついた。俺の昔の話をした時も、そうだったけどアキラさんは本当に自分のことのように泣いてくれたから。
「アキラは、優しいのよね。泣き虫だけど」
「そうですね…。引くぐらい、泣き虫ですもんね。笑 でも美香さんも優しいと思いますよ。赤ちゃんのこと、本当に大事に思ってたのが伝わってきます」
「そうね…。親だもん。7か月だったけど、私の子どもとしてお腹に宿ってくれて、本当に感謝してるの」
(きっとこういう人の子どもに生まれてきたら、すごく幸せだったんだろうな)
母親になれなかったのに美香さんの笑顔は、すごく優しいお母さんって感じで…。こんなお母さんもいるんだ…ってちょっと驚いた。そんなことぼんやり考えてたら、美香さんが「話がずれちゃったわね」と笑いながら言った。
「まぁ、そういうわけで、私がここに通ってお金を落とすのは、アキラを応援するって意味が一番かな。どっちかっていうと母親の心境に近いわ。あとは見栄?ほら、自分の息子が売上足らなかったらなんか応援してくなるじゃない?うちの子は一番なんだからーって。笑 だから、マサキにプロポーズした話もガッツリ聞いたわよ。私、ジュエリー関係の会社やってるから、指輪もいろいろデザイン案出したのよ?」
「…なんか、すんません。ありがとうございます。なんかきれいな指輪だったのに、つけてるのがこんなんで…。母親…的には、恋人が男ってことに抵抗は?」
「え?全く無かったわね。いっそ彼女が出来たって聞くよりは、逆に嬉しかったわよ?アキラの元カノ、バカ女ばっかだったから。だから今日手伝いにお店に来てるって聞いて、会いたくて仕方なかったのよ。実際、アキラより断然可愛いし。アキラの結婚相手なら私にとっても子どもみたいなものだからね。こんなの、とか言わないの!私は月に2回しかこっち来れないけど、来た時はマサキのことも呼んでもらうから、覚悟してね」
「あはは、お母さん公認なんて、光栄です。喜んで」
そんな会話をして笑い合ってる所に、アキラさんが戻ってきた。戻ってきた瞬間、結婚祝いとかでとんでもない額のボトル入れてくれて、アキラさんがすげーびっくりしてたのが笑えた。
そして、俺も帰り際に代表にスカウトされてしまった。笑