こんばんは、今日は夜のバイトお手伝い。久しぶりに行ったら、マスターの髪にそりこみが入ってた。笑 コメントいつもありがとうございます。すっげー嬉しいです。読むの楽しみとか言ってもらえると、こちらことコメントもらえるの楽しみに書いてます、笑 ほんと、エロまでなかなか行かない…。もうすぐなんで、気長によろしくです
。今から勉強!がんばろ!
続きです
「マサキ!おはよう!さっさと起きて!間に合わなくなっちゃう!!」
朝方に寝た俺は、テンション高めのアキラさんの声に起こされた。ボヤーっとした頭を必死に起こして状況把握。
(ああ…そっか、今俺沖縄に来てたんだった)
完全に寝ている頭を起こして携帯で時間を調べると、朝の6時。夜人間の俺の感覚では、まだまだ真夜中。
アキラさんもそれは同じ筈だけど、昨日ずっと寝てたからか、妙に元気で俺を起こした時には既に自分の準備は終わっていた。
アキラさんに急かされながら服を着替えて、頼んであったルームサービスのスープだけ飲んでホテルを出た。
着いた先は、なんか小さな木造の小屋みたいな所。中に入ると海の写真がいっぱい貼ってあった。
中から明らかにサーファーって感じの色黒の男の人が出てきて、アキラさんを見ると笑顔で駆け寄ってきた。
「久しぶりー!アキラ、おっせーわ。何してたんだよ!もう他の客準備始めてるから、早く準備しろよ」
「ごめんって、良介。あ、こっち電話で話してたマサキね」
昨日からわけがわからないこと尽くしで、ぶっちゃけなんか色々慣れて来てた。笑 良介さんて人は、アキラさんから紹介された俺を見て、見た目のチャラさとは違ってすげー爽やかな笑顔を向けてきた。
「ほっせー子だな!ボンベ持てるかな?マサキ君!良介です!今日はよろしくね」
「はぁ…初めまして…よろしくお願いします」
ぶっちゃけ何をよろしくするのかもわからずに、ただ、流れで挨拶した。案内された少し広めのシャワー室みたいな所。海パンを手渡されて、アキラさんと一緒にぶち込まれた。
「…マサキ…少し、前よりも肉ついた」
アキラさんに背中を向けて、手渡された海パンに着替えていると、いきなりアキラさんから声かけられた。振り向くと、ウエットスーツに着替え終わってたアキラさんが嬉しそうにこっちを見てた。
「最近は…、結構、食べられるようになってきたんで…」
「そっか…、良かった」
「あの、アキラさん、俺…」
「よし、水着着たな!さっさとしないと良介にキレられる。笑 マサキもそれ着て」
謝るなら今か!と思った俺の考えは遮られて、アキラさんと同じようなウエットスーツを着せられた。
集まってた4、5人の人と一緒に良介さんの運転する車で海に連れてこられた。話を聞いてたら、良介さんはスキューバダイビングのインストラクターで、こうやって観光客の人にスキューバの体験をさせる仕事をしてるみたいだった。
海に着いて、船に乗せられた。観光客の人達とは離れた所で、用意されているボンベを色々いじっているアキラさん。さすがに、俺もここまで来るとスキューバをさせられるんだってわかって、ちょっと緊張していた。旅行どころか、県外にも出たことなかったから。
(なんで沖縄に拉致られて、いきなりスキューバする流れになってんだろ…)
「アキラさん、俺らも話聞かなくていいんですか?」
「ん?俺スキューバ資格持ってるから」
「そうなんですか!?」
「そうそう。しかも自分だけじゃなくて、人を泳がせたりも大丈夫なヤツだから。マサキは安心して。俺が引っ張っていくから」
そういって、色々を終えたアキラさんに頭を撫でられた。観光客の人達とはちょっと離れた所とはいえ、ナチュラルにそんなことをしてくるアキラさんにちょっとドキっとしつつも、俺の頭はもう完全にパニック状態だった。水泳の授業も参加したことなかったから、泳ぐのどころか、海を見るの自体初めて。船に乗るのも初めて。船酔いはなかったけど、心臓バクバクして、綺麗な海を見る余裕も無かった。
「あの、そもそも、俺水泳したことないんで、泳げないんですけど…」
「大丈夫、大丈夫♪」
「いや、大丈夫じゃないでしょう…今から潜るんですよね?足つかないんですよね?」
「ボンベ抱えて、足ついたらそれこそ重いって。笑」
「そもそも、耳抜きとか、さっき一回教えてもらっただけだし…」
「あんまり考え過ぎんなー」
目的地に着くまで、アキラさんがずっとそんな感じだったからか、俺の不安も倍増して、ずっとそんなことを聞くもんだから、観光客の人にも笑われた。
目的地に着いて、良介さんの合図を元に、みんなボンベを背負いはじめる。俺の緊張はMAXでボンベを背負った瞬間に重さで後ろに倒れそうになった。
「さー誰が一番に入るー?」
アキラさんとか他のインストラクターの人達が、海に入った後に、良介さんが素人組に笑顔で問いかける。みんな、どうする?どうする?って譲り合いになってた。俺も正直、海に入るのが怖すぎて、最後がいい…と思ってた矢先…
「マサキー!おいで!気持ちいいよ!」
すげーいい笑顔で、海からアキラさんが叫んだ。それを聞いて、素人組も一斉に俺を見る。良介さんがニコニコしながら近づいてきた。
「あの…ちょっと待って…」
「大丈夫大丈夫!アキラが手ひいてくれるから!ボンベ口から離すなよー!じゃー、行ってらっしゃーい!!」
静止するのも全く聞かずに、近づいて来た良介さんに、思いっきり後ろに押され、そのままボンベの重さでドボン。
一気に視界が泡だらけになったと思ったら、泡が開けて見えたのは、図書館にあった本でしか見たことのないような、綺麗なサンゴ礁と魚の群れだった。
他にもインストラクターさんが何人かいたけど、アキラさんはすぐにわかった。水中に入った俺の手をつかんで、引っ張ってくれるのに合わせて、教えられたとおりゆっくり足を動かすと、本当になんの力もいらずすいすい進んだ。
ゴーグル越しでも、アキラさんの目が笑ってて、なんかすごく嬉しくなった。
先を見渡すと、どこまで見ても透き通った緑色の海で、魚の群れもハッキリ見える。それに、ただ感動した。ドラマとかじゃないけど、本当にこんな綺麗な世界ってあるんだなぁ…って。
昔から、本を読むのは大好きだった。放課後家に帰りたくない時、図書館で本を読んで帰るのが日課になってた。本を読む時間は夢中になるから、お腹がすいてるのを少しでも忘れられたし、それに、本を読んどけば、自分の生活とは全く違う世界が見れたから。
でも、その反面、幸せな物語とか読むと、そんな世界あるわけないって、冷めた目で見てた。じゃないと、家でされる暴力に耐えらんなかった。
初めて見る海の中。色んな色の魚がいっぱい泳いでて、サンゴ礁があって、ニモもいた。でも、一番は目の前に、一番大事な人が笑顔で居てくれる。子どもの頃には考えらんなかった世界。こんな世界あるわけないってずっと思ってたものが、目の前にある。
海中でも書けるボードにアキラさんがペンで書いて見せてきた。
“マサキに、きれいな世界を見せたかった”
ボンベの息が苦しくなるぐらい、泣きそうになって困った。