自宅療養が嫌になってきた。笑 早く仕事に戻りたい…笑 いつもコメントありがごうございます!何回もコメントくださってる人もいて、すごく嬉しいです!コメントもらうと嬉しくてやる気でるから、俺もほかの人のに、コメントしていこー。笑 続きです。
次の日から俺は体調を壊した。熱が39度近くでて、仕事を休んだ。体がきついせいか、やっと眠れても、昔の夢見たり体痛かったりで、あんまり熟睡できなかった。
マスターに連絡すると、食い物やら薬やら持ってきてくれた。熱が下がんなかったら、病院行けよ、と一言言い残して仕事に行ったマスターに感謝しながらも、一人になった寂しさが込み上げてきた。
昔、学校で高熱を出した時を思い出した。保健室で眠っている時、ベッドの寝心地の良さにずっと学校に居たいって思った。
学校から連絡を受けた母親が迎えに来て、気持ち悪い愛想笑いを先生に向けた後、家に帰った瞬間、冷たいタイルの風呂場に裸のまま放り込まれた。寒すぎて、お湯をチョロチョロ出して温まっていたら、帰ってきた彼氏に蹴られた。あの時は本当に死ぬかと思った。
家を出て、やっと布団で寝れるようになって、ご飯も食べれるようになった。これ以上幸せな生活無いのに。やっぱり、体が弱ると心も弱くなるのか、時計の音しか聞こえない空間に一人って状態がどうしようもなく寂しくて、つらくて…。なんか布団の中で涙が出てきた。
熱が上がってきたのか、トイレに行こうとしたら足に力が入らなくて立った瞬間倒れた。
「きついー…きついよー…トイレ行きたいよ…立てない…」
なんか、恥ずかしいぐらい、体がきつくて、子どもの頃でもこんなに泣いたことないってくらい号泣しながらバカみたいに訴えてた、そんな時。
部屋のチャイムが鳴った。鳴ったからといって、立てないから居留守しかない。もう一度チャイムが鳴った後、鍵が外から開けられてドアノブが回って、ドアが開いた。
もしもの時の為にマスターは俺んちの合鍵を持ってるから、あーマスターか…と思ってたら、鍵を開けて入ってきたのはアキラさんだった。
「マサキ!大丈夫!?めっちゃ行き倒れてんじゃん!!」
布団の上にうつぶせに倒れてる俺の所に、アキラさんが走ってきて支えてくれた。俺は大号泣のまんま。恥ずかしいにも程があったけど、なんか安心してしまって、泣きながらアキラさんに思いのまんま吐き出した。
「アキラさん、きつい…トイレ行きたいのに…立てなくて…きついよー」
「わかった、わかったから、トイレな。今連れてってやるからな。きつかったな。寂しかったな。頑張った」
その後、トイレの介助までアキラさんにさせて、背中におぶられて、タクシーで緊急病院に連れて行かれた。熱が40度ぐらいまであがっていたみたいでそのまま病院に入院になってしまった。
タクシーで行く間ずっと、泣きながらきついきつい言う俺に、アキラさんは膝枕で俺の頭をトントンしながら子どもをあやすように、「もう大丈夫だから。すぐきつくなくなるからな。もうちょっと頑張れ」って言ってくれた。
解熱剤を点滴で入れられて、大分楽になって眠りについた。起きたら夜中。脇を見たらアキラさんが携帯をいじっていた。俺に気づいて、携帯をしまう。
「起きた?マサキ。きついの、どう?」
「…だいぶ楽です…。すいません…迷惑かけて」
「よかった。うん。だいぶ熱下がったな。良かったー…マサキ、人間の体温じゃないレベルだったし、このまま死んだらどうしよーってマジ焦った」
ハハっと笑いながら、ハンカチで汗を拭いてくれた。昨日の今日で、しかもこんなに優しくしてもらって、なんか、本当にこの人が好きだ…って思ってしまった。
「本当にすいません…。見苦しい所いっぱい見せて…」
「いんやー。いつも結構冷静なマサキが、駄々こねて、子どもみたいで可愛かった」
(普通に可愛いとか言うなよ、このホストが…)
「俺が来るまで、ずっと泣いてたの?」
改めて言われて、ぼやーっとしてる記憶を奮い起こす。はっきり思い出してきた途端、恥ずかしさマックス。
「あー…いや、いつもはこんなこと無いんですけど…風邪のときってどうも弱るっていうか…本当すいません…」
「いやいや、謝らせようとしてたわけじゃなくて。…1人で怖かったろ?良かった…俺、マサキんち行って…」
「そういえば、何で鍵持ってたんですか?」
「今日、仕事休みだったから、マサキに会いにバー行ったら、マスターにマサキと連絡がつかないって。家で死んでるかもだから見て来てやってくれって言われて。行ったら本当に死んでた。笑」
「それは、わざわざすいません…。なんか俺に用事でした?」
「あー…昨日の、キョウスケとのことで、聞こうと思って…」
(あーそういうことか…)
少し気まずい雰囲気が病室に流れる。少しの沈黙を破って、喋り出したのはアキラさんだった。
「キョウスケとさ、ちゃんと付き合ってんの?」
「まぁ…一応…。まだ1か月程度ですけど…」
「そっか…。あのさ、キョウスケいいやつだから、こんなことは言いたくないんだけど、あいつちょっと人間関係だらしない所があってさ。友達だったら本当にいいやつなんだけど…。そもそも、マサキがこんななってるのに、来ないとか…。なんか、しっかり恋愛するなら、ちょっと向かないっていうか…」
そんなことをボソボソ言い出したアキラさんに、違和感。だって、アキラさんが紹介したはずなのに…。
「アキラさん、キョウスケさんに俺のこと紹介したのアキラさんって聞きましたけど、なんで今さらそんなこと…」
「は?紹介?俺紹介なんてしてないよ?」
「だって、キョウスケさん、俺がゲイってこと知ってたし…。アキラさんに、紹介してって頼んだら、俺の店アキラさんが教えてくれたって…」
「はぁあ!?なんじゃそりゃ!!」
個室だとはいえ、そこそこ大きい声にちょっと焦った。でも、アキラさんは本当に初耳みたいな感じで驚いてた。
「じゃあ、なんで、キョウスケさんが、俺がゲイってこと知ってたんですか?」
「あー……それは…」
ちょっと言いにくそうに俯くアキラさん。答えを急かさず、待っていると、言葉を探しながら話してくれた。
「…マサキに、告白されたこと、酔った勢いで相談、みたいなことしちゃって。ゲイの子から告白されたって…。その時、どこの子?とか聞かれて…店教えちゃったかな…。まさか、行くと思ってなくて…あいつバイだから、なんかぽろっと出ちゃって」
「相談って?」
「…いや、マサキがどういうつもりで告ってきたのかな…って。実際俺もゲイの人にナンパされたこともあるんだけど…なんか、その時、軽くてさ。軽い気持ちで告ってきたのか、真剣に告ってくれたのか、ちょっとグルグルして」
「俺付き合わなくてもいいって言いましたよね?どんな気持ちでとか、関係ないじゃないですか。普通に、無理ですって言われたらそれ以上、踏み込んだりしませんよ」
「いや…実はそんなに無理でもないっていうか…」
その一言は、俺の中で予想してない言葉だった。よく言葉の意味が理解できない。
「なんか、その言い方だと、なんか俺の告白真剣に受け止めて、考えてくれたように感じるんですけど…」
俺の問いに、アキラさんがうーん…ってうなった後、俺を見た。
「実際…告白されるまで気づかなかったから、好きって普通に言われてびっくりした。でも、お前はなんか返事いらないとか不完全燃焼な感じでさっさと寝ちゃうし…。それから、なんかずっと考えて、マサキのことは好きだし、本当に友達になりたいって思ったから…ちゃんと考えたんだよ…」
「だって、それは…好きですって言われただけでも迷惑なのに、付き合ってなんか言えるわけないし…」
「そうよな…そういう意味だよな…。そうだとは思ったんだけど、一人でグルグルしてる時に、キョウスケに言われて、ゲイの世界じゃ普通にヤりたい人間に好きですなんて当たり前だし、そんなにがっつり考えて、付き合ってくださいなんて言ったら、引かれるだけとか言われて…」
話を聞きながら、キョウスケさんに心の中で舌打ちした。
(ゲイの人間ってくくるなー…それは一部の人間だっつの…)
「俺、結構、付き合ったら一途っていうか…。結構周り見えなくなるから、それで今まで重いとかイメージと違うって振られてきてさ。それをキョウスケも知ってるから…いざ、付き合ってみて、マサキが遊ぶつもりの軽い感じで考えてたら、どうしようとか…」
「…なんか、さっきから、アキラさん、俺と付き合う前提で考えてくれたように聞こえるんですけど…」
アキラさんの言ってることが、支離滅裂で、高熱の余韻の残る頭では理解が難しかったから、つい直球で聞いてしまった。
俺の問いにアキラさんが、しばらく沈黙した後、笑顔になっていった。
「うん。そうみたい。恋人に…なってみる?」
なんか、熱にうなされて都合のいい夢見てんのかなって、本気で思ってしまった。