コメントありがとうございます。わーい、うれしいです。自分でも着地点が見えなくなってますが、のんびり付き合ってください。
「ところでなんで、あんな落ちてたんですか?」
「……あーそーだった。笑 ごめんね、急に呼び出して…」
「いや、それはいいんですけど…お客さんのアフターケアも仕事の内なんで」
「仕事かよ。笑 ……いや、大したことないんだけど、今月順位落ちちゃって…」
正直、ちょっと予想と違った。笑 俺の予想的には、恋人と別れたとか、親が死んだとか…。俺の中で変動の激しいホストの順位が変わるなんて当たり前だって認識だったから。
「そうなんですね…何番になったんですか?」
「2番…まぁ、1位取られた人、今月誕生日とかあったのもあるけど…」
「だったら、仕方ないじゃないですか。知らないけど、誕生日なんて何百万も使うもんなんでしょ?また来月取り返せばいいじゃないですか?」
「うん、間違いない!笑 マサキ君、正解!」
ハハって少し笑って、アキラさんが黙り込んだ。やっぱナンバーワンになる人だし、努力とかプライドもあるだろうに、簡単に次取り返せばなんて言った自分に反省した。
「あーごめんね?付き合ってもらっといて、気使わせて。俺めっちゃかっこ悪いー!」
顔押えて、ふざけながら自虐するアキラさんに、俺はむしろいつも見れないアキラさんを見れて喜んでた。更に酒をあおって、アキラさんが語り出した。
「俺、自分に自信無いんだー…だから、なんか順位が下がると、俺の価値も下がっちゃう気がして、順位落ちるといつもこんな感じで落ちるんだよねー…」
「いやいや、アキラさんが自信なかったら、俺どうすればいいんですか」
「マサキは、めっちゃいいやつじゃん…俺、小さい時施設で育ってさー…」
アキラさんが、そういった瞬間、ちょっとドキッとした。
(施設育ちなんだ…)
「親が3歳の時事故で死んで…まぁ、ほとんど記憶もないんだけど、親戚も近い人はいなかったから、そこから施設で暮らし始めて…施設の人も事務的な人ばっかだったから、小さい頃から愛情ってなんぞや?みたいな?笑」
笑いながら、話すアキラさん。今思うと、だいぶ酔ってた。
「小学校の時は、ネクラで友達居なかったから、中学にあがる前に、めっちゃ雑誌とかでモテる男!っていうのを研究してさ、体も鍛えてー、その頃から背も一気に伸びたから、やっと人並みに人間関係作れるようになったんだけど、なんか、周りに人が増えたら増えたで、こいつら俺の外ヅラしか見てねーのかなーとかって思って…。本当の俺はあんなにネクラなのに…」
「アキラさん結構ひねくれてるんですね」
「うるせーわ。笑」
アキラさんの話を聞きながら、自分のことを振り返ってた。こっそり持ってたクラスの好きな奴の写真を見られてゲイってばれて、外見もチビで貧相で、毎日イジメられてた。
家に帰ったら帰ったで、母親とその彼氏から殴られて存在否定されて。死にたいなんて毎日思ってたから。今は外見もそこそこ整えて、なんとか見れるようになったと思うけど、ちょっとした瞬間にどっと不安になる。何かしたらすぐ人が離れていくんじゃないかって…。
だからか、アキラさんの気持ちは少なからず理解できた。だから、何も言えなかった。
俺が無言なのに気づいたのか、アキラさんがいつものトーンでバシバシ叩いてきた。
「うわー俺めっちゃ恥ずかしい!めっちゃかっこ悪い!語っちゃった!こんな話したの初めてだー!忘れてくれ!よし!ここからはみんな大好き下ネタタイムに入ろう!」
「つなぎ無理やりですねー…。まぁ、いいですけど…」
ほかの人には話せない話を俺にしてくれたんだから、何か言わないといけなかったんだろうけど、何も言えなかったから、話を変えてくれたアキラさんに甘えた。
時間は夜中3時を過ぎてた。やっぱり男の子なので、下ネタを語り始めると止まらない。笑
「マサキはゲイ?バイ?」
「店ではバイって言ってますけど、ホントはゲイです。女のお客さんと店終わった後、アフターとかもあるから、バイって言ってた方が都合がいいんです」
「あー、バーとはいえ、色恋も仕事の内って感じ?」
最初そんな話をしてた。ゲイってこと隠さなくてもいいし、ホントの自分で喋れたから、すごく楽で、どんどんえげつない話になっていく。
「マサキはつっこむ方?つっこまれる方?」
「俺はつっこまれる方ですね。だから、童貞です。笑」
「うっそ。でも、そうだよな。笑 つっこまれて気持ちいいもんなの?女の子でアナルやったことあるけど、アンアン言うの演技だと思ってた」
「人によりますね。男と女でどう違うかは知らないですけど、俺は気持ちいいですよ。あんまりでかい人は、痛いけど…。前一回痔になりかけたんで」
「いやー!!それで肛門科とかサングラスしても行けない!!笑」
そんな話をダラダラしてると、だんだんアキラさんの股間のモノが膨らんでるのに気付いた。
「アキラさん、ちんこでかくなってますよ」
「あはは…俺酒飲むと発情するタイプでー。しかも下ネタだったから。笑」
「酒入れて下ネタアウトだったら、ホストやれないでしょ」
「仕事中は大丈夫だもん!最近忙しくて抜けてないんだもん!仕方ないじゃんー!」
股間をジャージの上から撫でながら叫ぶアキラさんの姿に、ついぽろっと言ってしまった。
「俺でよければ抜きましょうか?」
俺も酒が入ってたので、ほとんど本能のまま思ったことを口に出した感じ。でも言ってしまった後に、今さら心臓がどきどきしてきた。
(やべ、引かれるかな?)
思った俺の心情とは正反対に、アキラさんはじっと自分の股間と相談した後、
「お願いします」
と笑いながら言ってきた。