俺が働いてる店は小さな店でキッチンが2人、バーテンが2人、プラスのマスターで成り立ってる。マスターがゲイで、EX○LEのアツシに似てる。(彼氏もち)
ここで働き始めたのは、俺が当時付き合ってた彼氏?と飲みに来たのがきっかけ。(違法!とかは無しの方向で。笑)
中卒16歳って年齢でどこも雇ってくれない俺を最初キッチンとして雇ってくれて、尚かつアパートも契約してくれた大恩人。そんな恥ずかしいこと、今さら言えないけど、本心はそんな感じ。笑
そんなマスターが、ある日の営業時間内の人が少なくなってきた時に、携帯を見ながら話をふってきた。店内にはオカマバーの仕事帰りの姉さんが2人。
「おい、マサキ。良かったな。今からイケメン来るぞ。イケメン」
そう言ってマスターが気持ち悪いくらいにやけた笑顔を浮かべてくる。イケメンって言葉に姉さん達がキャーっと色めきだつ。
「マスターの言うイケメン…俺好みじゃないからなぁ…」
次の日の酒の欠品を確認しながら答えた。ちなみにマスターの好みは、武蔵系のガチムチタイプ。マスターも身長182あって、そこそこガッチリしてるんだけど、更にガッチリが好きらしい。ちなみに、俺のタイプは玉木宏とかのスラッとエロいタイプ。
「俺のタイプじゃねーよ。お前が好きそうなイケメン。この前客と一緒にホストクラブに行ったときに、その子が指名してるのがNO1の子でよ。話盛り上がっちゃって!今度アフターでうちの店使ってくれるらしくて、ちょっと飲みがてら今日は下見だってさ」
「なんだ…それ。完全ノンケじゃん、つまんない…」
ぼやくと、店長に「贅沢め!目の保養だろ!」と頭を叩かれた。
「マサキちゃん、いっとき彼氏が居ないからってホストは駄目よ。ホストは」
姉さんの一人が話しかけてくる。
「いかないですよっ、てかいけないですよ。ガチノンケで女好きとか。面倒くさい」
「まー!マサキちゃん前はあんなに可愛かったのにスれたわね〜。面倒くさいなんて!昔から悪い噂の男ばっかにつかまってたから、忠告してるんじゃない」
「…悪い男ってわかってたんなら、その時言ってくださいよ…」
「言っても、聞く耳もたなかったじゃない」
そんな感じの会話をしてた時だった。ドアが開いて、客が入ってきた。
入ってきた瞬間に、マスターの言ったイケメンだってわかった。よく飲みに来るホストの人達と違って、ホストって感じの雰囲気じゃなかった。髪は黒だし、長髪でもないし、ピアスも1個しかしてないし、靴もとんがってない。(全部俺の偏見です。笑)
顔もやばいくらいのイケメン!ってわけじゃなかった。でもオーラがモテそーっていうか。スマートな感じ。
(やっべーくっそタイプ。)
姉さん達にいかないと言っときながら、第一印象はそれ。笑 ガチタイプの人が来たんだから、仕方ない。笑
イケメンは、こっちを見てマスターを見つけると、ニコーっと笑いながらこっちに来た。その笑顔がまた爽やかでキュン。笑
「アツシさん。いきなりごめんね。閉店前に。もっと早く来るつもりだったんだけど、女の子に捕まって」
とてつもなく爽やかに笑いながら、俺の目の前に座ったイケメンに、最初おしぼり出すのも忘れて、じーっと見惚れてしまった。そんな俺を見ながらニヤニヤしてる姉さん達の視線に気づいて、姉さん達の方は見ないようにイケメンにおしぼりを渡した。
「ありがとー!君、名前は?俺はアキラ!よろしくね〜」
「マサキです。マスターがお世話になってます」
アキラさんと名乗ったその人は、俺より3個上の23歳。(当時)さすがホスト!って感じで、すごく話し上手な人だった。俺は初対面の人と話すのが苦手なので、最初は姉さん達やマスターも含めて5人で喋っていたけど、酒もごちそうになったおかげもあり、1時間も話す頃には、姉さんらも帰って、マスター抜きで2人で喋れるようになってた。
閉店時間になってアキラさんのお会計を済ませ、マスターに挨拶してアキラさんと一緒に外に出た。結構飲ませてもらってたので、よくは覚えてないけど、タクシーを捕まえて、乗せてもらって、タクシー代までもらった。
タクシーの外でバイバイって手を振ってくるアキラさんの笑顔に、ホストにはまる女の子の気持ちがすごく理解できたのを覚えてる。笑