続きです。
しばらくすると、彼が俺のぶかぶかの服を着て風呂場から出てきました。
彼シャツに萌えるとは耳にしたことがありましたが、実際にさせてみると、とんでもない破壊力でした。
「じゃあ、浴びてくる」
平静を装い、俺は風呂場に入りました。
軽く元気になりつつあるムスコに苦笑いを浮かべながら、落ち着く為に少し長めにシャワーを浴びました。
風呂場から出ると、彼はテレビを観ていました。
「なんか飲むか?」
「あ、えっと…」
まぁ…知らない大人の家では言いづらいか。
俺は冷蔵庫缶ジュースを2本取り出しました。
「炭酸飲めるか?」
「大丈夫です。ありがとうございます」
彼にジュースを渡し、俺は彼の隣に座りました。
缶を開け、彼の肩に腕を回してから一口飲んだのですが、彼に集中してジュースの味が分かりません。
彼は驚いた顔で俺を見上げました。
その可愛さにキスをしたくなる気持ちを堪えながら、気になることを質問しようと思いました。
「初めて?」
「はい」
「本当に男好きなの?」
「はい」
「好きな人は?」
「いません」
「ヤリたいの?」
「……はい」
最後の質問には複雑な表情をしました。
「じゃあ、飲んだら寝室きて」
俺は一気に飲み干し、先に寝室に行きました。
ベッドにバスタオルを敷き、ローションを準備しました。
玩具などもありますが、初めてで使うものじゃないでしょうし。
10分程経ってから、彼は部屋にきました。
「寝て」
早速、彼をベッドに仰向けに寝かせました。
「……」
緊張が伝わってきて、愛らしい表情でした。
彼に覆い被さり、唇を優しく重ねました。
何度も啄み、舌を差し込むだけで、彼は体を反らせました。
俺に抱き付き、ギュッと服を握ってきます。
夢中で唇を貪ってから唇を離し、彼の顔を見ました。
「……」
熱っぽく、艶っぽく、満足そうな表情を浮かべている。
そう思ったのに…。
「ご、ごめんなさい…ッ」
彼は泣いていました。
拭っても拭っても涙が頬を伝います。
「正直に言って。するの嫌だった?」
「嫌というか、ちょっと怖いし、不安です…」
「じゃあ、やめようか」
「え…?」
「無理にしてもつまらないし」
泣かれたら、こっちとしても気まずいですし。
「寝よう」
「…ごめんなさい」
「気にすんな」
落ち込む彼の頬にキスをしました。
「眠れる?」
「はい」
「じゃあ、ゆっくり寝な」
「はい…」