飲み始めて一時間くらい経ったころ。
「ソウター。お前って本当に可愛いよな」
ビールを飲みながら、突然俺に言ってきた。
その目はいつもより、とろんとしている。
「は、はぁ。ありがとう、ございます」
嬉しいようで、でも結局男だしなぁという複雑な気持ちでいると、
「ちょっとこっちに来いよ」
と対面に座っていた俺に手招きしてきた。
不思議に思いながらも近づいていくと、がおー!っと言いながら、
俺を抱き寄せて俺の後ろから抱き寄せる体勢で座らされた。
「へへ、ちょっとだけ、な」
なんて後ろから嬉しそうに言ってくる先輩は、酔っているのかいつもとは違っていた。
「どうしたんですか?今日は変ですよ?」
ちょっと心配になった俺がそう聞くと、
「俺がソウタが好き過ぎて抑えられないんだわー」
と言いながら俺の首元に顔を近づける。
凄くくすぐったくて身体を捩ると、敏感だなぁと言いながら俺の首元をなめてきた。
「んっ」
突然の感触に俺は変な声を出してしまった。
「うわ、エロい。今の声。やっべぇ、何か暑くなってきた」
と言いながら立ち上がり、先輩は着ているTシャツを脱いでパンツ一枚になった。
俺はそのカッコいい先輩の姿にどきどきして目をそらしていると、
「ソウタ?どうしたの?」
と言ってまた後ろから抱き着いてくる。
おいおい、暑いんじゃなかったのかとツッコミを入れたくなったが、
「い、いえ……」
恥ずかしくて俺はそれしか言えなかった。
「そうだ!」
先輩は突然何かを思い立ったようにして、クローゼットを漁り始めた。
本当に酔っ払いの行動はよく分からない。
しばらくその様子を眺めていると、じゃーん!と言って俺に一枚の競泳用水着を見せてきた。
「ど、どうしたんですか?」
と聞くと、
「この前買ったんだけどさ、似合ってるかどうか見てくんない?」
と言って突然、先輩がパンツを脱いだ。
急なことに驚き、思わずを目をそらしてしまった自分は、
恐る恐る顔を上げると、そこには競泳用の水着姿になったコウ先輩がいた。