部屋に行くと、彼はバスタオルを腰に巻いただけの姿でベッドに寝転んで手招きをしてくる。
俺はもう冷めぬ興奮のまま、子犬のようにして彼の上へ乗っかった。
「ふふっ、やけに素直っすね」
俺はその言葉にちょっとムッとした。
「そういうギャップがまた良いんですけど」
言いながら俺をぐっと抱き寄せキスをすると、硬いままの股間も押し付けてきた。
「一回じゃおさまらない気がする」
なんて照れくさそうに言うその表情は犯罪だ。
俺はバッとバスタオルをはずして、彼のそれを銜え込んだ。
「ちょ、ちょっと」
少し焦る彼を無視して、俺は美味しそうに舐める。
彼のモノはとても大きくて男らしい。
それなのに、なぜかとても綺麗だった。
すぐにしょっぱいような苦いような味が口に広がる。
俺は先端から下、内股を往復するようにして味わった。
「や、やば……。今日は、俺が、くっ……」
俺は耐えるよう身体をくねらす彼にニヤリと笑って、
「主導権握ろうなんて、10年早い」
と言ってローションを取り、彼へと跨った。
「もっと気持ちよくしてあげるよ」
そう得意げに俺が言ったときだった。
突然、視界がぐるりと反転したかと思うと、俺の上に彼が居た。
「へへっ、そうはさせませんよ?」
すると、どこから取ってきたのかネクタイを俺の手首とベッド上部のパイプにまきつけ、
俺の下半身へと慶一君が乗っかってきた。
「なっ、」
俺は一瞬の出来事に混乱していると、
「こんなときのために、結び方勉強してたんっすよ」
今度は彼が得意げに笑っている。
「あほかっ!そんなん勉強してる暇があったら、ちゃんと……っ」
最後まで言い切る前に、彼に口を塞がれた。
「大人しくしないと、本気でやっちゃいますよ……」
真剣な顔にちょっとした恐怖を感じたが、それ以上にこれからされることにドキドキした。
(変態か、俺は……)
内心、自己嫌悪になりそうになった感覚はすぐに吹っ飛んだ。
慶一君は俺の露になった脇を舐めてきた。
「まっ、くすぐったっ……」
その言葉を無視して、ぺろぺろと舐める。
次第に首元、胸元、そして、
「可愛いっすね、ここ」
といって、両手の指で俺の胸の突起を刺激してくる。
どこぞのAV男優かのようにエロくすばやい手つきだった。
「ま、まじっ、バカッ!やめっ、んは……」
「気持ち良いですか?こんなに立ってますけど……」
言いながら今度はそれを舌先で刺激する。
次から次へと来る快感の波に俺は理性が吹っ飛んだ。
「あっ、あぁ!」
「もっと声、出してください」
音をたてて吸い付きながら上目遣いで言ってくる男前な彼に、少し涙目になりながら、
「ご、ごめん……。もっと、して」
普段な自分なら、絶対に言わないことを言ってしまった。
彼は満足そうな顔をすると、そのまま俺の股下を触れる。
すでにローションがいらないほどぬるぬるになっていた。
「なら、俺のも気持ちよくしてください」
言いながら彼は自分のモノを俺の口元に持ってくる。
俺は夢中でしゃぶりつくと彼は、うっ、と呻きながら腰を前後させてきた。
「気持ちいい……。まじヤバイ……ッ」
しばらく舐めてるといきそうになったのか、俺の口から離して、なぜかネクタイも解かれた。
「あまり、長く締め付けてると痛いっすよね……」
こんなときに自分の快楽優先だけじゃない彼の優しさに、俺の何かが吹き飛んだ。
そして彼の上にかぶさり、深いキスをしながら全身を擦りあわせた。
俺の身体と彼の身体。
まったく大きさや感触は違うけど、その二つが擦り合わさったこの感覚がとても好きだった。
ぐいぐいと擦られる二つの男のソレは、痛いほどに刺激しあって時折視界がゆらぐ。
「はっ、んんっ……。あっ」
「ちょ、行きそうです、待って」
止めようとする彼を無視して、俺は彼に、
「いやだ、慶一君のこと、俺……っ、」
目を見つめると、二人の喉がごくりと鳴った。
「好きすぎるからっ……」
その言葉に、彼の目が驚いたようにして見開いた。
と同時に、それぞれが限界をむかえて温かい体液の感触を腹部に放った。
動きがゆっくりと止まり、俺と慶一君はしばらく無言で息をする。
快楽の余韻に浸っている慶一君は突然ううっと呻きながら頭を抱えこんだ。
「ど、どうしたの?」
いきなりのことでどこか具合でも悪くなったのかと思って覗き込むと、
ちらりとこっちを見て、
「また、負けた気がする……」
そういって俺を抱きしめた。
なんだよそれ!と言いながらじゃれ合って、そのままいつの間にか一日の疲れが出たのか、
どちらからともなく眠りについてしまった。
俺にとって、とても幸せな日の一日だった……。