続きです。
「てか、色白過ぎ!」
「なんか焼けんのもったいないくらいだな」
先輩方に囲まれる。
「てか、ツルツルじゃん!」
僕はまだ腕にも足にも毛が生えていなかった。
「ヤベェ!女みてぇ!」
「胸はないけどな」
ゲラゲラ騒いでいると先生が来て「早く練習始めろ」と呆れながら言った。
準備運動をしたあと、僕は佐久田先輩に連れられ用具室に入った。
「騒がしくて悪いな」
「いえ、すごく楽しいです」
「ならよかった。お前、女みたいだからからかわれたりとかするだろうけど、気にすんなよ」
「はい」
実際に楽しかったので、笑顔で返した。
「あ、あのさ。ハルカって呼んでいいか?」
「もちろんです」
「じゃあ、俺のことも智也って呼んでくれよ」
「はい。智也先輩」
なんだろう。
恋人みたい。
ドキドキする。
「ハルカ、あのさ」
「なんですか?」
「……」
無言になる先輩。
なんか気まずい。
どうしたらいいか分からない。
そんな時だった。
「佐藤マネージャー!ちょっと来てくれー」
森先生に呼ばれた。
「すみません。行ってもいいですか?」
「あ、あぁ…」
僕は急いで先生の元へ向かった。
「なんでしょう」
「お、サイズ大丈夫だったか。よかったよかった。早速だが、マッサージを覚えてくれないか?」
「わかりました」
「アイツが無理してたらしくてな。ちょうどいいから練習させてもらってくれ」
先生の指差した先には1年の吉田君がいた。
3人で更衣室に移動し、ベンチに横になってもらった吉田君で練習をさせてもらった。
先生に最初にやってもらい、その後、自分でもやる。
一通り教えてもらい、本も貸してもらったので、これからはなるべく一人でやらなくてはいけない。
「じゃあ、泳いでる奴ら見てくるから。なんかあったら呼んで」
先生が更衣室から出て行き、2人きりになった。
「マッサージ、まだやる?」
「どうせ今日はそんなに練習させてもらえないだろうから付き合うよ」
吉田君が仕方ないと言った感じで言った。
中1にしては筋肉の付いた体。
身長も165前後。
羨ましい。
「じゃあ、やらせてもらうね」
本を見ながらマッサージをする。
足が痛いらしいので、足のマッサージ。
試行錯誤しながら頑張ってマッサージをした。
うっすらと毛の生えた足を触るのは、正直すごくドキドキしていた。
続きます。