俺は葛藤していた。
携帯をいじりながら寛いでいる憧れのカッコイイ先輩。
一緒にお風呂に入ることは、危険極まりなかった。
もし自分のアソコが反応してしまったら、なんと言い訳したらいいのか。
最近抜いてなかったんでー。とか言ったら、流せるだろうか。
そのまま先輩のノリで、じゃあ俺が手伝ってやるよ。となるのだろうか。
いや、それはないだろう……。でも、あって欲しい。
一人で悶々としていると、風呂が沸いたことを告げるアラームが鳴った。
「お?沸いたんじゃね?」
先輩は携帯を閉じて嬉しそうに言う。
そんなに一緒に入りたいのか。そう思うと変な風に捉えてしまう。
「そうですね」
俺は冷静を装って言う。内心はドキドキもんだった。
「よっしゃ、じゃあ行こうぜー」
言って一人洗面所へと向かい、その後を着いて行く。
洗面所へ着くなり、先輩は勢いよく服を脱ぎだした。
夏場なので、Yシャツの下は素肌。
みるみるうちにパンツ一枚へと変わる。
(……っ)
エロかった。脱いだ衣類によって洗面所は先輩の香りでいっぱいになった。
そして保健室より間近で眺めるその後ろ姿は、男のフェロモンが漂っていた。
「お前も早く脱げよ」
ちょっとトリップしかかってる自分に、先輩は言ってくる。
「あっ、あ、はい。ちょ、ちょっと先に入っててください!」
俺はどもりながら言うと、先輩は不思議そうな顔していた。
「ほら!せっかくだから、洗濯機回しちゃうので!これ、借り物だし!
着替えとか、新しいのも準備し忘れてたんで!」
それはウソじゃなかった。
バスタオルも何も準備してなかったのだ。
先輩は、そうかと納得してそのままパンツを脱いで「じゃ、お先に」と暢気に風呂場へと入っていった。
そのとき、先輩のアソコはこちらからは見えなかった。
でも、日に焼けてない綺麗なお尻は丸見えで、その引き締まった下半身のラインにドキドキしていた心音がいっそう高鳴った。
俺は一人ため息をつきながら、寝室のクローゼットに取りに向かった。
準備してから洗面所へ戻ると、先輩はシャワーを浴びていた。
自分の借りていたジャージや汚れた制服と、先輩の服と一緒に洗濯機に放り込んで回す。
ふと、先輩のパンツを入れ忘れていたことに気が付き手に取ると、かすかにぬくもりが残っていた。
(……あたたかい)
はっ!と我に返ってぶんぶん頭を振って、洗濯機にぶち込むと、
「おーい、何やってんだよー」
と先輩の声が響いた。
「あ!すみません!今行きます!」
覚悟を決めた瞬間だった。
残りの下着を脱ぎ捨て、出家した坊さん、いや、それ以上に煩悩の全てを退散させて先輩の待つ風呂場へと入った。
……。
風呂場に入ると、先輩は入れ替わるようにして湯船に浸かった。
「お前なに隠してんだよ」
先輩は笑いながら言う。
そのとおり、俺は中くらいのフェイスタオルを腰に巻きつけていた。
本当を言えば水着を着たいくらいだった。
「やっぱりお前……」
ドキッとした。
「小さいんだろ?」
(わああ、そうなんです!俺は小さいんですー!って)
心の中で一人慌てたのもつかの間、言われたことに対して、
「何言ってるんですか……」
そう冷静になって返した。
「え?だって、頑なに入りたがらないし、隠してるし」
「違いますよ。だからって別にとりわけでかい訳じゃないですけど」
はははと笑う先輩。
チラリと盗み見ると、全身が水気を帯びていて色気が5割増しだった。
ゆらゆらと揺れるお湯の中には、鍛えられた先輩の身体。
その中心には、黒い陰毛としっかりした大人のソレがあるように見えた。
自分の中の煩悩が一気に湧き上がるのを感じ、急いで頭から熱いシャワーを浴びる。
(にごり湯になるやつ、買っとけば良かった……)
先にシャンプーを済ませる。
その間ずっと目をつぶっていたが、先輩のことが気になってしょうがなかった。
俺はささっとすすいで、一息つこうと顔を上げると、水の音とともに先輩が湯船から上がった。
(げっ!)
「背中流してやるよ!」
先輩は爽やかに言ってきた。
「いやいや、いいですよ!」
視界になるべく入れないようにして断ると、
「遠慮すんなって!」
といいながらナイロンタオルにボディーソープを着け泡立てている。
自分は自分に落ち着け、落ち着け、とひたすら繰り返していた。
すると、先輩は俺の背中を優しく洗いはじめた。
「頼りない背中だな〜。ちょっと鍛えろよ?」
俺はその言葉に、すみませんね!とちょっと膨れて返すと、先輩はククッと笑った。
一通り洗い終えると、先輩に肩をぽんと叩かれ、
「よし、次は俺の番なー」
と言って来たので、先輩と場所を入れ替わる。
先輩は全身を鍛えているのだろう。
広く逞しい背中は、背筋がしっかりとついていた。
(この背中に俺は……)
おんぶされていた。
そして、今すぐにでもしがみ付いて擦り寄ったら、泡と先輩の温もりと、心地いい肌の感触で……。
そう考えたら、俺のアソコが少し芯を持ち始めた。
「やべー、やっぱ良いな。誰かに洗ってもらうのって」
まだばれてない。だが、時間の問題かもしれない。
すると先輩はとんでもないことを言い出した。
「なぁ、ソープごっこしようぜー」
その提案にハテナマークが数え切れない浮かんだ。
先輩は泡を手にしてクルリとこちらを向くと、その大きく暖かな素手で俺の胸元あたりを撫でてきた。
「っ!?!?」
俺は言葉が出なかった。
「お客様、気持ちいいですかー」
そんな俺にニヤニヤしながら、泡をこすり付けてくる。
先輩の手つきはエロかった。
ついでに正面から丸見えとなった先輩の裸体は、どこぞの彫刻張りに綺麗だった。
エロく微笑むどこぞのメンズモデルばりに男前な顔つき。
喉仏が浮き出た太い首、厚い胸板と割れた腹筋で綺麗にくびれた腰、しっかりと鍛えられた腿とふくらはぎ。
そして何より想像していたとおり、だらりとぶらさがったアソコは男らしく、思わず頬張りたくなってしまうほど魅力的な果実のようだった。
「……っ」
先輩の指が乳首を掠ると、身体がびくりと反応した。
「ちょ、や、やめてください」
その手をつかんで抵抗するが泡でするりと滑り、先輩は止めない。
「はっ…うぅ……」
「はは、感じてる感じてる」
先輩は楽しげに良いながら、俺の腰辺りに手が差し掛かったときだった。
「え?」
先輩は突然、動きをぴたりと止めた。
(――やばっ!)
思ったときには後の祭りだった。
俺のアソコは先輩によって、ギンギンになっていたのだ。
先輩のその反応から察するに「冗談のつもりなのに何こいつ男相手におったててんだ気持ちわりいな」だと思った。
「「……」」
少しの沈黙。
俺は何も考えずに急いで湯船に浸かって泡を洗い流し、先輩を残して風呂場を飛び出した。