続きです。
丈瑠が笑いながらシャンパンに口を付けた。
「ん…ッ」
眉をしかめながらグラスを凝視し始めた。
そんなにマズいのかと思って飲んでみたが、至って普通…いや、美味しい。
じゃあ、シャンパンは口に合わなかったか?
「シャンパン、苦手だったか?」
「いや、初めて飲んだんだけど…。なんか想像と違う…」
「いったいどんな想像してたんだよ」
「もうちょっと飲みやすいっていうか…
あれか。
シャンメリーと同じだと思ってたか?
丈瑠のことだから、きっとそうだ。
「ジュース飲むか?」
「大丈夫…」
そう言いながらケーキを切り分ける。
今更思ったが、2ホールは多かったか?
小さいのを買ったけど…。
6分の1を皿に移すと、イチゴを退かしてから食べ始めた。
好きな物は残しておくのは変わっていないらしい。
ケーキを一口食べ、すぐにシャンパンを飲む。
そして、ケーキを一口…。
残りは自分で飲もう。
なんか…もったいない。
俺はケーキの前にピラフを食べた。
シャンパンに見合うような食い物じゃなかったなぁ…。
ちょっと後悔。
ピラフを一気に食べ、ケーキに手を付けた。
チョコとショート、どっちがいいかなぁ…。
まずはショートにしよう。
そう思い、俺も6分の1を皿に移した。
「酎ハイ飲む」
冷蔵庫からコンビニで買った缶酎ハイを持ってくる丈瑠。
ピラフを食べながら酎ハイを飲んでいく。
あれ、結構な勢いじゃね?
「丈瑠、ジュースの方がいいと思うよ」
「大丈夫だよ、大丈夫」
…まぁいいか。
ピラフを食べ終えると、もう一缶開けようとする。
「ケーキ余らせないように、まずはケーキ食ってくれ」
「はーい」
元気に返事をし、自分の分のケーキを平らげていく。
美味そうに食うなぁ…。
味わっているのか不安だけど。
安くはないんだからね!
ケーキを食べ終えることには、丈瑠はすっかり出来上がっていた。
「一口ちょーだい」
俺のケーキをねだるから、食べさせてやる。
あーんって食わせるとか、なんかカップルみたいだ。
「おいしいねぇ」
自分もさっき食ったくせによく言うなぁ…。
俺がシャンパンを飲み終え、丈瑠が唐揚げと買ってきた自分の分の缶酎ハイを飲み終えた時に、丈瑠は酔いつぶれていた。
俺も結構いい気分。
「源太、あのさ…」
丈瑠がテーブルに突っ伏しながら喋り始めた。
「源ちゃんって読んでいい?」
唐突にニックネームを決められた。
続きます。