続きです。
リビング、ダイニング、キッチン、寝室、物置部屋、風呂、トイレ…。
我が家を隈無くチェックしていった。
「家具も高そう…」
「いやいや、そこまで高いの買う金はないから。それより、ケーキ食って酒飲もう」
「そだね。そうしよ」
ダイニングの椅子に座る丈瑠。
「まずはコート脱いで、手を洗え」
「あ、りょーかい!」
「コートは椅子にかけて置いていいから」
言ったとおり、コートを椅子にかけ、ダウンを迷った挙げ句、椅子に置いた丈瑠。
中はやっぱりTシャツだけだったらしい。
ハンガーにかけ、コートは寝室に、ダウンはリビングに片付けた。
俺はリビングに放置してある洗濯物を持って寝室に移動し、その中の適当な物に着替えた。
ダイニングに移動して暖房のスイッチをオンにし、手を洗いに洗面所へ。
ちょうど丈瑠が手を拭いているところだった。
手を洗いながら鏡を見る。
なんか…こうしているのいいな…。
一緒に暮らしてるみたいだ。
ダイニングに戻っていく丈瑠。
俺もすぐにダイニングに戻った。
丈瑠は食べる気満々で皿とコップを並べている。
「勝手に準備するな」
「あ、使っちゃいけない皿だった?」
「いや、使ってもいいやつだけどさ。客に準備させるのは悪いだろ?」
「プレゼントのお礼だよ」
まだ気にしてるのか。
そんなことを考えながら冷蔵庫からケーキを出し、買ってきた飲み物を入れる。
買っておいたシャンパンとグラスも用意。
結構雰囲気あるんじゃね?
そういや、丈瑠、仕事終わってすぐだから飯まだなのか?
「冷凍物でいいなら唐揚げとかあるけど食うか?」
「ケーキだけで十分だよ。これ以上何かしてもらうのも悪いし」
たぶん遠慮してるだけだな。
唐揚げと…あ、ピラフあった。
解凍しよう。
そう思い、レンジで温めた。
あとは野菜…?
いや、丈瑠が野菜嫌いだしな。
いいか。
あんまりやっても遠慮するだろうし。
キャンドルに火を灯し、準備は整った。
明かりをスタンドだけにして、キャンドルの光を楽しむ。
「こういうクリスマスって初めて」
丈瑠が嬉しそうに呟いた。
「じゃあ、乾杯しようか」
シャンパンを開け、グラスに注いだ。
「ドキドキするね」
子供のような表情を見せる丈瑠。
俺がグラスを持つと、丈瑠もグラスを持った。
「聖なる夜に、乾杯」
「かんぱーい。てか、何その聖なる夜にって!」
丈瑠がケラケラ笑った。
俺も恥ずかしかったのに…。
続きます。