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続きです。
「丈瑠、これ…」
紙袋を手渡した。
「え?なにこれ?」
「一応、プレゼント」
ヤバい。
恥ずかしい。
「俺に?」
「あぁ…」
もっと人がいないとこで渡せばよかった。
チラチラ見てくるやついるし。
当たり前か。
男が男にプレゼント渡してんだから。
「ありがと!開けていい?」
そんな俺の気持ちなんて知らない様子で、プレゼントを喜んでくれる丈瑠。
その表情を見たら、恥ずかしさも少し和らいだ。
「いいよ。大したもんじゃないけど」
「なんだろ」と呟きながら紙袋の中身を取り出し、ラッピングを丁寧に剥がしていき、箱を開けた。
「あ、マフラーだ」
マフラーを広げながら笑う。
「新しいやつ買おうと思ってたとこだったんだよ」
そう言うと、何かを探し始めた。
「どうした?」
「いや、値札どこかなって」
「いやいや、ついてないから。てか、プレゼントの値段を気にするとか野暮ってもんでしょうよ」
「ん…そうだね」
そう言いながらケータイを取り出した。
メールかな?
そう思い見ないようにした。
しばらくして、丈瑠がケータイをしまった。
「女にメールか?」
いないことを分かった上で、冗談で言った。
「いや、メールじゃないよ。あ、あのさ、お返しは今度でいい?」
「え?」
「いや、てか、こんな高いの貰えないっていうか。ん、でも開けちゃったし…」
あぁ…値段調べたのか。
まったく…。
気にするなって言ったのに。
「普通にありがとうっつって受け取りゃいいんだよ」
マフラーを丈瑠の手から奪い取り、無理矢理巻く。
「うん。似合う」
「あ、ありがと。てか、もう一個あるんだけど…」
紙袋からもう一つのプレゼントを出す丈瑠。
先ほどより丁寧に包装紙を剥がした。
「財布?」
「財布。どうせまだ中学ん時から使ってるっていうアレだろ?」
「そうだけどさぁ…」
「その歳でマジックテープは無いぞ」
「使いやすいよ?」
「いや、そうだろうけどさぁ」
こいつは学生時代からこうだった。
あまり見た目とかを気にしない。
流行に流されず、あくまで普通な格好。
普通な髪型。
「そんなんじゃ彼女できないぞ?」
「源太に心配されなくたって彼女くらいつくれるし」
拗ねた表情も可愛い。
「今までいたことあるのかよ?」
茶化すように訊いてみた。
「…いないよ」
恥ずかしそうに答える丈瑠。
23歳で未だに…ってのはどうなんだろう。
続きます。