『1つ貰ったら ダメ..?』
翔太の部屋のゴミ箱の中の
沢山丸まったテッシュを見ながらオレが言う。
大学時代、カミングアウトしてもずっと
態度も変えず仲良くしてくれていた親友がいた..
彼の名前は翔太。
翔太は少し街から離れた田舎に住んでて
この学校に来るのは、
距離も時間も掛かるのに
実家から毎日電車通学していた
田舎で育ったから..って訳じゃないけど
男らしいのに、素朴な優しさに溢れていて
バカだけど一生懸命で
よく言う『良いヤツ』って、ホントそんな感じだった。
クラスの皆からも慕われていて
オレ自身も、人として尊敬出来るヤツだなって思ってた
翔太には大学に入ってから
ずっと片思いしてる相手がいて
勿論女子だけど…
オレにも彼氏が出来たりして
本当に仲が良かったから、気負いせずに恋バナとかもしたいし
カミングアウトする事に決めた。
彼氏の話しを茶化しながら聞いてきたり
失恋したら、深夜電話で何時間も話し聞いてくれたり
ゲイの恋愛でも『普通の恋愛』として見てくれる
カミングアウトしてるし、仲が良すぎて『友達』って意識が強かったから
あんまり色恋的な目で見たりはしなかったけど
それでも魅力的な奴だなって思う。
翔太は片思いの子に3回以上告白して
毎回玉砕してた
その子曰く『男として意識出来ないから』らしい。
まあ、なんとなく分かるけど..
学生時代ずっとサッカーしてたみたいで
身体は少し筋肉質、ムダがないけどガッシリしてる
元々肌が黒いのに、夏なんか更に焼けて
友達皆でからかって遊んでた
『男らしさ+筋肉質+色黒』
の三代要素が集まって、
恋愛 ではないけど
正直『ヤってみたいな…』って気持ちはあった
そんなの、頭の中でモンモン考えてても気持ち悪いから
翔太には正直に言ってた
そしたら、
『初めてが男とか、オレ流石に泣けるぞ..?』
って返された。
個人的には、結構期待出来る言葉だなと
密かに胸を踊らせていた..