『何が?』
『俺だって大好きやもん。
1人だけ好きみたいに言わんといてや。
好きやからこんな辛いねん。』
思いがけない言葉だった。
でも好きって言葉は兄としてって意味だとすぐわかった。
いろいろ吹っ切れてた俺は、もう恥ずかしさとかなくなっちゃって続けた。
『俺世界で1番お前のこと好きやねん。
世界で1番幸せにしようと思ってる。
でもお前が世界で1番好きにならなあかんのは今メールしてる子やろう?』
『違う。
俺だって世界で1番好きやで。』
『嘘つけよ』
『嘘じゃない。
だから相手にも優先順位は兄ちゃんが第一優先やって言ってる。
俺だって世界で1番好きやねん。』
それだけ言うとまた泣き出した。
何が出来る?
俺に何が出来る?
ここで帰らせることか?
この関係を終わらせることか?
俺に今こいつのために何をしてあげられる?
自問自答を繰り返して
出た答えは
後ろから強く抱きしめた。
体は俺に預けてきたから
首を傾けさせてキスした。
手を握った。
強く力が入る。
大好きだと思う程の強く手も握る。
流れる涙が俺の顔にも付いた。
今までで1番長いキス。
離れた後は手で涙を拭ってあげた。
電気は消してたけど目が慣れてた。
晴れた目で俺をみてた。
『大好きやで』って言うと
正面向いて俺にもたれかかって
『俺も大好き』って言ってくれた。
理解は出来ない。
じゃあなんで女に行くのか?
そこだけは理解出来ない。
でも仕方ないことだと思うしかなかった。
布団にはいると何度もキスした。
弁解するように、謝るみたいに
言葉は少なかったけど。
数日後、
そいつは付き合い出した。
やっぱり耐えれなくなって
またすぐに距離を置きたくなったけど
出来るだけ近くにいた。
職場でも
2人でちょっと喋ってたり
距離が近かったら嫌気がさした。
職場が地獄に思えた。
事務所で2人で話してる姿とか見たら、1時間は立ち直れなかった。
1人で帰る日が結局増えた。
他の誰かと過ごしても寂しさは積もる。
あの大好きって言葉も
今の俺にとってはなんの当てにもならない。