4人で酒を飲む。
10年前と変わらない。
この10年間のことをいろいろ話した。
高校や仕事。
恋愛についても。
和樹も10年前と性格は変わっていなかった。
「ちょっと便所行ってくる」
「あ、俺も行くー」
俺が立ったら、和樹もついてきた。
二人で便所に入る。
そして、俺が小便器の前に立とうとした時だった。
「正浩…」
後ろから抱き締められた。
昔は同じくらいの身長だったのに。
今じゃ和樹のほうがだいぶ大きい。
「和樹…?」
「会いたかった」
酔っ払っているのだろうか。
それとも、本気なのだろうか。
「は、離せよ。誰かに見られたら…」
「じゃあ個室に入ろ」
無理矢理洋式の個室に入れられた。
壁に押し付けられ、唇を重ねられた。
昔と一緒だ。
昔も無理矢理してきたんだ。
…受け入れたい。
このまま和樹に抱かれたい。
だけど、それじゃだめだ。
一回だけの関係になるくらいならしないほうがいい。
俺は和樹を押し返した。
「正浩?」
「だめだよ…」
「…好きな人できた?」
子供のような顔をする。
「いないよ」
「じゃあ…」
「もう子供じゃないからさ」
和樹の言葉を遮って話す。
「俺も和樹のこと好きだよ。だから…会えなくなるならしたくない。余計に苦しくなるじゃん…」
「じゃあ一緒に住もうよ」
「そんな簡単にはいかないよ」
「なんで?」
なんでって…。
「仕事だってあるし…」
「俺が養ってやるよ」
何なんだよ、こいつ。
何でこんなふざけたことを真顔で言えるんだよ。
「あ、ここじゃ言いたくないから。あとで続き話そ」
チュッとキスをし、そのまま出て行く和樹。
勝手だ。
勝手過ぎる。
なのにどうして…。
こんなにも嬉しいんだろう。
宴会場に戻ると、勇太と宏樹は既にできあがっていた。
他のグループに絡んだりしている。
まぁ、最終的には全員で話すキッカケになったからイイんだが。
そろそろお開きとなった頃、宏樹母が「もしよかったら泊まっても大丈夫なんで。あ、お風呂も使ってイイですよ」と言ってくれた。
いつまで経っても宏樹様々。
持つべきものはイイ友人だ。
明日は仕事と言う人や家庭がある人などは帰り、残ったのは俺ら4人と女2人に男2人になった。