公園から出て、アパートに向かう間も手は握ったままだった。心臓が破裂しそうなくらいバクバクしている。顔が熱くて真っ赤になっているだろうけど、夜でよかった。
アパートに着いて、部屋に入った。
「汚ね」
けんた先輩がボソッと言って少し笑った。先輩の顔は目が真っ赤だった。
「何でゆうすけって知ってるの?」
いきなりそう聞かれ、どう返答していいかわからなかった。でも、それを説明するには包み隠さず言うしか無いと思った。俺は高校から今までのことを必死になって話した。先輩はずっと黙って聞いていた。そしてけんた先輩もこれまでのことを話してくれた。そして最後にこう言った。
「正直、ヒデかっこいいし、そんなこと言われたらクラッと来ちゃうよ。でも、まだゆうすけのこと好きだし、こんな時に甘えるのずるいし帰るよ。」
けんた先輩はそう言って、帰ろうとした。でも、俺はどうしても帰したくなかった。俺のわがままだけど傍にいさせてほしいと思った。
「お願いします。帰らないでください!俺のこと利用してもいいです。だから帰らないでください…」
俺はけんた先輩を抱きしめて放そうとしなかった。けんた先輩が離れようとしても放さなかった。先輩は俺の腕の中で黙ったままで、
「お願いします先輩…」俺がそう言うと、
「わかった…」
けんた先輩がそう言ってくれた。
その後、けんた先輩は俺のブカブカのジャージを着て、俺のベッドで、俺の腕の中で寝てる。当然俺は寝れる訳もなくて、先輩を思い切り抱きしめていた。先輩の頭の中はゆうすけ先輩のことで一杯なんだろうけど、それでもこのままずっと抱きしめていたいと思った。ただ、こんな時でも下半身はかたくなって痛いくらいだった。けんた先輩に当たらないようにと考えれば考えるほどおさまらなかった。