大学2年になった。サークルの勧誘が始まった。ゆうすけはマネージャーになってくれそうな女子ばかりに声を掛けている。
俺はサッカーとかフットサルに興味のありそうな奴を見付けては声を掛けていた。
「サークルの宣伝のチラシください」と、後ろから声を掛けられた。振り返ると、新入生ぽい子が立っていた。
「あー。いいよ。フットサル興味ある?」
そいつは背が高くて、と言っても、俺が164しかなくてそいつは177、8くらいで見上げないと喋られない。
「サッカーとかやったことないけど、楽しそうですね」
「うん。楽しいよ。経験とか無くても全然大丈夫だから見学来てよ。今日も夕方からやってるからさ。」
「わかりました。絶対見に行きます。」
やたら元気のいい奴で、名前は山本というらしい。山本は足早に去って行った。そこにゆうすけが戻って来た。女子を連れて。
講義が終わって疲れた俺は、サークルに行くかどうか迷っていた。バイトを探しに行きたかったし、ゆうすけが休み時間に俺の所までわざわざやって来てマネージャーになってくれそうな女の子がいっぱい来ると得意げになっていたのもあって帰ろうと思った。
しかし、山本のことを思い出した。あいつ絶対見学くるって言っていた。さすがに誘った本人がいないのも可哀相だと思い、渋々体育館に向かった。
体育館の入口に山本は立って中を覗いていた。中に入ればいいのに変な奴だなと思った。
「早速来たんだ?」
俺は笑顔で声を掛けた。
山本は振り返るとホッとした表情で、
「あっ、、いないのかと思いました。見学に来たんですけど…」
「いいよ。中入って。」
山本は笑顔でよろしくお願いしますと言って俺について体育館に入った。