夏休み前に俺達の処分が決まった。
ヨシダ御一行は退学、俺は夏休みの勉強合宿に強制参加になった。
幸い、合宿にはコウキや他の友人も参加するらしいので大した処罰には感じなかったが。
そして、待ちに待った夏休み。
合宿は8月の頭から一週間だから、まだまだ遊べる←
勉強合宿って言っても、ほとんどみんなで夏休みの課題に取り組むだけで、パソコンとかもあるらしいから余裕。
というか、勉強自体嫌いじゃないし。
友人達と連絡を取り合い、カラオケに行くことにした。
もちろんコウキも。
俺とコウキを含め5人でカラオケ。
意外と空いていて、待たずに部屋に案内された。
もちろんフリータイム。
歌うの好きな面子だから、なかなか盛り上がった。
コウキも歌が好きみたいだし。
ただ、意外とアニソンがメインだった。
1時から歌い始め、夕方6時。
皆、テンションが夜の上がり方になっていた。
「王様ゲームしようぜ」
ムードメーカーのタナカがバッグから数本の割り箸を取り出した。
なぜそんな物を常備しているのかはスルーした。
皆、特に反論がないようなので従った。
一本ずつ割り箸を取る。
「王様だーれだ?」
「はーい!」
見た目はチャラいが根は真面目なハギワラが挙手した。
「じゃあ、2番と4番がキス。あ、ディープキス」
なぜ言い直した。
2番、俺なのに。
「ぼ、僕、4番」
あからさまに緊張しているコウキ。
「俺、2番」
割り箸を見せる。
「じゃあ、ディープキスね」
3人からのキスコール。
「ショウ君、ぼ、僕、初めてだから、あの…」
コウキの焦り様に皆が笑った。
「大丈夫、俺も初めてだから」
そう言いながらソファーに押し倒した。
笑いが歓声になった。
「ほら、力抜け」
漫画やドラマなどで得た知識をフル活用する。
「ぅ、ぅん…」
目を閉じるコウキ。
俺はゴクリと固唾を飲み、唇を近付けた。
もう一度唾を飲み込み、意を決して唇を重ねた。
柔らかい。
なんか…ハマりそう。
もう一度、もう一度。
啄むようにキスをしていたら、いきなり後頭部に衝撃が走った。
「イテッ」
振り返るとハギワラが苦笑いをしていた。
「誰が見せつけろっつったんだよ」
「え?あ…」
つい、ディープキスを忘れていた。
「ショウ君、えっち」
顔を真っ赤にしているコウキ。
「もういいよ。見てると胸焼けするわ」
笑う3人。
俺はコウキから離れた。
コウキは体を起こした。