部活も終わり、暇になった。
昼を持ってきてないので、買い出しにいくことにした。
一番近いコンビニまで、自転車で10分。
さすがにかったるいので諦めようとしていると…
「おう広!なんだ勉強か?」
話かけてきたのは、世界史の先生だった。
「あっ…はい!ちょっと気になることがあって!今から買い出しにいくところです!」
すると、
「俺も今からいくんだよ!乗せてってやるよ!」
…なんと優しい…
世界史が嫌いな自分に何故か罪悪感を覚えた。
結局先生と買い出しにいってから学校に戻り、読書をすることにした。
っと、時計を見ると16時。
ここで本も読み終えてまったくすることがなくなった。
床に座って壁にもたれ掛かり、ボーッとしていた。
………………………
気がつくと時計は19時。
なんと寝てしまったようだ。
ん…?
なぜ体がこんなに傾いているのに、倒れないんだ?
ふと頭をあげる。
自分を抱き締めるように支える暖かい腕。
わずかに聞こえる心臓の音。
静かに寝息をたてる影。
そして、タオルと同じ香りの野球部のジャージ。
「洸…?」
「ん…あっ、起きたのか。」
「ごめんごめん。重かったっしょ。」
そういって、体を起こそうとした。
ギュッ…
「えっ…ちょっ、洸?」
「広の髪…めっちゃいい臭いがする。もう少しこのままでいい?」
っと、一向に離してくれない洸。
段々と心臓の鼓動が大きく聞こえてくる。
「洸…抱き締められてたらはずかしいよ。」
「そうだよな、ごめんごめん!」
そういうと、洸は腕を緩めた。
「話ってなに?あっ…はいタオル。」
今日の本題を切り出す。
自分の首にかかっていたタオルを洸の首にかけながら。
「実はね…やっぱりいえないや。」
「それじゃ待ってた意味ないでしょー。」
恥ずかしそうにする洸の鼻をつつきながら、話すようにせがんだ。
「話しても、友達でいてくれる?」
少し頬を染める洸。
「もちろんだよ!」
軽快な返事をして、洸の答えを待った。