ヌードデッサンのモデルとなった野球部のエース青山浩介はうつむいたまま台の上に立った
下をむいたまま動かないでいると
「…青山くんもこんな大勢の前じゃ恥ずかしいと思うけど、よろしくたのむよ。…腰に巻いたタオルを取って」
沈黙に耐えられず
先生がデッサン開始の合図を告げた
誰とも目線を合わせず青山先輩が自ら腰のタオルに手をかけると
その身を守っていた最後の1枚がハラリと台の上に落ちた
一斉に浴びた視線の先にはみんなの予想をはるかに超える存在感があった
赤ちゃんの腕ほどの太い陰茎
ビリヤードの球並の双玉
それを守るように広がる黒い草原
何度みても僕は
その力強さと美しさに心を奪われてしまう
何十人もの前で
たったひとりだけが
生まれたままの姿で立たされ
思春期の男子がもっとも他人に見られたくない場所をさらし
羞恥心で顔を真っ赤に
染める先輩は
最高にかわいい
隣にいた山本くんの喉がゴクリッと鳴ったのが聴こえた
静まりかえる教室…
初めて見る衝撃に
教室中みんなが視線を外せずにいた
グラウンドから練習中の運動部の声がかすかに聴こえた
下を向いたまま先輩がポツリと呟いた
「…ょろしくお願いします」
僕は吹き出しそうになった
自分と同い年、いや年下だっている。そんなやつらを目の前にしてチンコを見せつけながら「お願いします」だなんてよく言えたな
普通の高校3年生なら
恥ずかしくて耐えられないだろう
先輩、もっともっと恥ずかしくさせてあげますからね…
僕は台本通りに進むシナリオに満足しながら
形だけのデッサンを開始した
みんなが口を紡いだまま鉛筆のカリカリという音だけが響く
僕は座ったまま左手をポケットに入れた
そして忍ばせておいた
スイッチを親指でカチッとONにした
教室中にかすかな音が広がる
ヴゥイーン…ヴゥイーン
その音を聴いた先生が
「部活中は携帯電話の電源は切りなさい!!」
と声をあげた
しかし着信音は止むことはない
「…ぇえっ!?」
隣で山本くんが鉛筆を落とした
「そんな驚いた顔してどうしたの?」
僕は何も知らない顔で尋ねる
「…あ青山先輩のチンコ勃ってる…」
まるで恐ろしいものを見たかのような顔で山本くんが青山先輩を指差した
そう
聞こえていた重低音とは僕があらかじめ先輩の穴に入れておいたローターの音だったのだ