秀ちゃんは真剣な顔で、「ともとなら、何でもできるから、練習相手になって
くれよ〜!」と両手を合わされて頼まれた。「仕方ないなぁ。秀ちゃんのためな
ら、できることは協力するよ!」って、仕方なく引き受けたフリをした。練習っ
て、何をするんだろうって期待した。
秀ちゃんは、Mさんを映画に誘うつもりで計画をねっている。自分の考えを僕
に必死に伝えてくる秀ちゃん。映画を見ながら、Mさんと手をつなぐつもりらし
い。映画館を出て、カフェしてから、海辺を歩く。何かなぁ…と想いながらも、
秀ちゃんの妄想につき合った。海辺に座って、沈黙のあと、キス! 僕がMさん
の役になって、秀ちゃんの横に座る。秀ちゃんが手を握って、「Mさん」と言い
ながら少しずつ顔を近づけてきた。目を閉じているから、僕も目を閉じて秀ちゃ
んの唇が触れるのを待った。でも、先に鼻が当たった(笑)角度が大切だと言っ
て、何度もキスの練習をした。初めての秀ちゃんとのキスだったから、僕にとっ
ては幸せな時間だった。唇を合わせるだけの軽いキスだったが、最初からディー
プなキスはMさんが嫌がるだろうって、短いキスや長めのキス、何度も何度も練
習した。
初めてのデートの練習は、これでバッチリだと秀ちゃんは納得をしたようだっ
た。二度目のデートは、昼間、誰も家族のいない秀ちゃんの部屋。ベッドに座っ
た僕たちは、二度目のデートの練習にはいった。