AKBが大好きな駿の部屋はポスターだらけだ。
高校受験を間近に控え、真剣な眼差しで数学の問題を解く駿とは、もう2年近くの付き合いになる。
郊外のベッドタウンにある一軒家。共働きの両親は帰りも遅く、一人っ子の息子に滅法甘い。
親の言うことも聞かず、中2の夏前には部活を辞めてしまい、偏差値の意味すらわからないような友達とばかりつるむような息子を本気で勉強するように変えたオレは、なかなか信頼されてるようだった。
両親にも。もちろん駿本人からも。
志望校の受験本番まで残り2ヶ月と迫ったころ、駿はスランプになり、イライラが目立つようになってきていた。時間ばかり費やすだけで、なかなか思うように成績が伸びず、若干諦めを見せ始めたのもその頃だった。