京都の大学にきて、4年目の夏が来ようとしていた。
今年の夏は全国的に本当に熱く、それは京都でも同じだった。
買ったばかりのTシャツの脇汗を気にしながら自転車をこぎ
俺は今日も図書館に向かった。
高校でハンドボール部だった俺は、大学に入ってもサークルとして続けていたので
体格はそんなにひょろくないし、
かといって体育会と違って本気でハンドをやっていないので、程よく筋肉がついている。
服もいろいろ選べる体系なのでオシャレもできるし、自分でも満足している体系だ。
そんな俺もいつもだったら焦っている時期である。
前期試験まであと1週間。
法学部に在籍している者だったら、試験1週間前の地獄を知っているはず。
法学部のような授業を出ないでも単位が取れる学部は、その反動が試験勉強のときに襲い掛かってくる。
試験直前の頑張りで、単位が取れるかが決まってしまうのだ。
うちの大学もの連中も大抵1ヶ月前から勉強し始めて試験に挑む。
俺も大抵なら三週間前くらいからやり始めるのだが
就活が長引いたのと、4回にもなると単位にも余裕があり少ししか登録していなかったので、安心して完全に出遅れてしまっていた。
だからそ、本当は死にもの狂いでこの遅れを挽回しなければいけないのだが、
俺はというと全く能天気、地に足がついていなかった。
なぜなら・・・
(あ!今日もいる!!)
俺は、今日もその人の真向かいの席・・・本当に真向かいは恥ずかしいので、その人から斜めの席に座った。
そう、俺がなんで自分のキャンパスよりも遠い法科大学院のキャンパスにある図書館まで、毎日チャリをこいで来ているかというと、【その人】に会うため・・・正確にいうと、しゃべったことはないので見に来たいからである。
たまたま、一週間前に友達の
「あっちの図書館の方がきれいだし、院生しかいなから空いてるよ」
と言われて、訪れた時に出会って、ひとめぼれしてしまったのだ。
そのせいで、朝早くから閉館する22時までいるのに
全く勉強に集中できないでる。
当の【その人】はというと、毎日 民法やら刑法やらを必死に演習していた。