俺は勉強に励んだ。
その大学に行けば、コウスケに会える。
そのために勉強した。
そのためにランニングを続けた。
コウスケに会い、また一緒にランニングできるように。
それに……謝らないとな
3月になった。
俺は無事合格した。
大学は住宅地を離れた、ほどよく自然に囲まれたところにある。
部屋も見つかった。独り暮らしだ。
そこは良い街だった。
落ち着いた雰囲気で、都会とはいえないが、少し行けばオシャレな店もあるし、電車も混まない。なにより、道が広くて、ランニングには最適だった。
毎回新しいコースに見つけては、コウスケの姿を探した。
そして、入学式前日。
俺はいつものようにランニングするために夜8時に家を出た。
今日も俺は大学の周りを走ってみた。
そのコースは大学生の寮が並んでいて、大学の所有するテニスコートやサッカー場、そして野球場がある。
だから俺はもう何度もここを走っていた。
コウスケが本当にこの大学に進学しているのかなんて確信はなかったが、そう信じて走っていた。
ちょうど野球場のそばを走っていると、ポツポツと雨が降り出した。
雨が激しくなる前に帰ろうと思い、スピードを上げたその時だった。
野球場から足早に走ってくる人影がこちらに近づいてきた。
暗くてよく見えなくて、俺はそのまま通り過ぎるつもりだった。
しかし俺は足を止めた。
相手も同じように立ち止まった。
……コウスケだった。