俺は結局、最後まで何もできなかった……
コウスケは俺を避けるようになった。
学校で見かけても、すぐにいなくなる。
目が合っても、俺は苦笑い、むこうはすぐにそらしてしまう。
声をかけたらどんな反応するだろうか?
その前に何て声かければいい?
俺が悪いんだよな…
なんて謝ればいんだろ?
今さら謝ってどうにかなるのか?
やっぱ俺にはどうすることもできんよ…
俺はコウスケを見るのが苦痛になった。
俺は塾のない日はランニングに行き、いつもどうりツタヤで待ってみるのだが、コウスケが現れることはあの日以来なくなった。
ひとりで走るのは、とてもつまらなくて、コウスケの気持ちがわかる気がした。
ひとりで走っても楽しゅうない
走ってるとき、俺の中で何度もその声が響いた。
そんな感じで、1日が過ぎ、1週間、2週間と日々は淡々と過ぎていき、3学期は終わり、春休みになっていた。
俺は結局、最後まで何もできなかった……
コウスケは転校した。
それは突然だった。
塾の帰りに、俺はいつもコウスケの家の前を通るのだが、その日、4階にあるコウスケの家の明かりは消えていた。
カーテンもなく、真っ暗だった。
車も、自転車もなくなっていた。
コウスケは去ってしまった。
俺が塾でつまらないことをしているうちに、去ってしまった。
俺がつまらないつよがりにしがみついているうちに、去ってしまった。
俺に何も言わずに、突然去っていった。
その次の日も、さらに次の日も、コウスケの家は真っ暗だった。
俺はマンションの前を通るたびに、コウスケがいないということを実感させられた。
俺はコウスケの存在をあたりまえだと思い込んでいた。
俺は塾をやめた。
ランニングはやめなかった。毎日走った。
それが償いになると思った。
毎日走れば、コウスケに会えるんじゃないか。そんなことを考えて。
俺は結局、最後まで何もできなかった……
p.s.
まだ終わりじゃありません。
この続きは、新しい項目で書こうと思います。
今度もよろしくです。