声の主はすぐにわかった。
紘「し・・・んちゃん?」
心「おう。どしたんだよ?いきなり・・・。」
紘「ご、ごめん。一人にして・・・。」
心「でも、俺、紘毅が心配。な、ほら顔あげなよ。」
心ちゃんが俺の肩に触れてきた。
俺の中に昔の記憶が蘇ってきて、心ちゃんの手を
振り払ってしまった。
心「痛っ。」
紘「ごめん。心ちゃん。お、おれ・・・」
心「気にすんなよ。そんな時もあるって。」
紘「俺、人に触られると恐怖を感じちゃうんだ・・・。」
勇気を出してホントの事を言った。
心「そうなんか・・・。何でか聞いてもいい?」
やっぱそうなるよな・・・。
わかってはいた展開。
だけどいざ、こうなると言うに言えない。
黙ってたら、
心「いいよ。無理に言わなくても。言いたくないことなんて誰にでもあるよ!俺だって言えない悩み抱えてるしね。」
心ちゃんは笑いながら、そういった。
すごくうれしかった。
紘「心ちゃんアリガト・・・。」
心「しばらく一人でいるか?帰るまで部室で待ってるから。」
そう言って心ちゃんは、屋上から校舎内に入ろうとした。
紘「待って・・・。」
俺は心ちゃんを呼びとめた。
心「ん?なに?」
紘「話すよ・・。昔の事。気持ち悪いとか言わない?俺の事嫌いにならない?」
俺は心ちゃんとの関係が崩れるのだけが怖かった。
心「何いってんの?俺は紘毅の味方。友達。そんな過去の事で友達やめんなんて、ありえねぇよ。」
その言葉に安心した。
紘「そっか。ありがとね」
心「んで何があったの?」
俺は中学時代の事を全部話した。
心ちゃんは真剣に聞いてくれた。
心「そんな事があったんだ・・・。辛かったな。それじゃぁ、ああなっても仕方ないな。」
紘「でも、ごめん。心ちゃんにはああならないと思ってたから。」
心「気にすんなよ。そんな事で友達なんてやめやしない。キモイとかも思わない。逆に辛い過去話してくれて嬉しかった。」
紘「ありがと。心ちゃんは優しいね。」
心「んなことねぇよ。友達として普通だって。」
心ちゃんの一言にものすごく助けられた気がした。
そして、この時は気付かなかったけど、
小さな恋心が走り出していた。