「なんか嫌な想いさせました?」
「別に」
「俺とじゃ嫌でした?
断れなかったすか?」
「そんなことないけど」
これは本音だ。
これ以上の相手はいないし実際、俺も楽しかった。
台詞には出さないが。
「そっすか。タカシさんあんまり楽しそうじゃなかったから、俺のせいかな?って思ってました。
結局、タカシさんイッてないし」
礼を欠いていたと自覚はしている。
あんな事があったとはいえこいつには関係がない。
ゲイに対する嫌悪感がそうさせたとしか言いようがない。
ヤル事しか考えてない、という全てのゲイに対する怒りの矛先を一人コイツに向けていた。
『不倶戴天』
「でも、俺はすごい良かったっす。こんなカワイイ人とできるなんて、最高でした。タカシさんスッゴいタイプなんで、良かったらサブアドじゃないアドレス教えてもらえますか?」
ただ、実際絡んでいて、いい奴だって分かったからもっとやな奴だったら、良かったのに、という手前勝手な後悔をしていた。
俺は本アドをメールで送った。
「このあと用事とか何かあります?良かったら遊び行きません?」
「ごめん、これから行くとこあるから」
一瞬残念そうな顔を見せたが、笑顔を作り、
「また会いたいな。
今度はHなしがいいっす」俺を抱き寄せ、頭をなぜ、かわいっ、と一言発した。
後ろ姿を見てると、振り返ってこっちに手を振ってきた。
そんな無邪気さが、かわいいと思った。
こんなやつと付き合ったら幸せになれるとそんな事がふっと脳裏に浮かぶ。
ただ、こいつもあいつもゲイで、やることしか考えていない。
そんな現実に嫌気がさした
俺も踵(きびす)を返し歩き始めた。
すると、メールが来た。
『さっきはありがとうございました。
また会いたいです。
もっとタカシさんの事知りたいっす。
今度いつ空いてます?
メール下さいね。
追伸、俺ちょっとタカシさんの事好きみたいです」
まじか、、
ゴメンね、、
俺も人の事言えないや。
最悪なんだ、、
俺はそのメールをソッコウ削除した。
そして、歩きながら俺はアドレスを変えていた。
俺は、ゲイの世界から離れる事にした。てか終了する事を決めていた。
愛斗とも、准紀とも。