「ぉお!!来てたんだ?野球に興味ないって言ってたのに(笑)」
「先輩ってすごい人だったんですね(笑)」
そんな簡単な会話をしただけだったが
僕はドキドキしていた
あんなイケメンが僕なんかと仲良く話をしてくれた
先輩は野球部のエースでプロ注目の選手
かたや僕は
野球なんか全然できない、地味な美術部
比べれば比べる程
情けなくなる
本当は
先輩を自分のものにしたいのに…
絶対に叶わない
夢なんだろうな…
そうあきらめかけたとき
一瞬で
僕の悪知恵が働いた
僕は先輩の秘密を
握っているじゃないか
あの万引きを
ネタにすれば
青山先輩は
僕の思うがままだ!!
僕は性欲に負けて
悪魔になった
次の日の放課後
先輩を体育館倉庫に
呼び出した
「どうしたんだ?急に呼び出して…もうそろそろ練習に行かなきゃ行けないんだけど」
野球帽を逆さにかぶっている姿は少年そのもの
泥で黒ずんだ練習着
油性マジックで書かれた「青山」の文字が薄くかすれていた
試合用ユニもいいけれど汗の染み込んだ練習用ユニも臭くて興奮する
そんな青山先輩の姿に
僕の心臓は余計に高鳴った
「先輩、ちょっとチンチン見せて下さい」
僕はいつも通りの口調で静かに命令した
「へ?どうした?何いってんの?」
「僕はチンチンを見せろと言っているんです」
「何いってんだ!!嫌だよ!!どーしたんだよ!?」
命令を拒否するのは
わかっている
けど
あのセリフを言えば
絶対に青山先輩は
言うことを聞く
「…先輩、万引きのことバラしますよ」
「っえ!?」
「警察にも学校にも親にもバラしますよ!!そんな事知れたら学校は退学。プロだってどーなるか…わかってますよね?」
「なんでいきなりそんな事言うんだよ!?卑怯だぞ!!あのときは見逃してくれたじゃないか!!」
「気が変わったんです。先輩が野球してる姿を初めて見て気が変わったんです。先輩があんなに世間から注目されているなんて知りませんでした。みんなの憧れである先輩を僕だけのモノにしたくなったんです」
「ふざけるな!!クソ野郎!!」
先輩の抵抗はしばらく続いた