愛斗と光一がセックスしてるって事を考えると、なんともいえない嫌悪感が込み上げてくる。
ムカつく。
俺は愛斗と付き合っている訳じゃないし、それ以前に好きでもなんでもない。
だから、この暗鬱とした感情が一体、どこから湧きあがるのか分からなかった。俺の中には、付き合うのはいい、だけどセックスは許せない、という矛盾した連環だけが残った。
俺はとにかく、イライラしていた。
仕事中、周りにも気を使わせてしまうぐらいだから、相当だったと思う。
この日、仕事が終わった後一人居酒屋に行き、酒をかっ喰らい家路に着いた。
俺はいつも通り郵便物を取り出し、エレベーターに乗った。
自分の階11Fが点灯した。俺はエレベーターの扉が開くと同時に降り、フロアーに出るやいなや、自分の家の前に誰かがいる事を察知した。
暴漢者か?
怖くて心臓が飛び出そうになった。
一気に酔いが醒めた。
そして、そこにうずくまっていたのは、、
俺「、、なおと、、」
尚人「おせーよ。何してたんだよ」
俺「そこで、何してるの」
尚人「メールも無駄だし、直接来た」
俺「、、俺達もう終わってるから」
尚人「はっ?一方的にメール送りつけて終わりって、ふざけんなよ」
俺「ここで怒鳴らないで。周りに聞かれる。
今、カギ開けるから」
俺は、、家に招き入れたこの瞬間、死を覚悟した。
尚人、、掲示板で知り合った人の友達で、プリクラを見て、俺が一目で気に入って紹介してもらった。
初めて会った時、衝撃が走った。
ゲイにもこんなにカッコイイ人がいるんだと。
俺は気に入られようと必死に猛アピールした。
向こうからは僻易されていたと思う。
それでも引かなかった。
『まるでストーカーだな』それが尚人の最初の笑顔だった。
尚人と初めて体を重ねた時、俺は嬉しくて涙が止まらなかった。
ベッドを交えて、尚人が売専に勤めている事がわかった。NO、1だ。
尚人と会う上で、好き、愛してるという言葉を言わない事。
俺からメールをしない事。尚人に干渉しない事。
逆らわない事を約束させられた。
俺は尚人に会えるならそれで満足だった。
俺は、部屋の暖房を入れ、湯を沸かし、ミルクティーを入れた。
俺「、、はい」
尚人「、、」
俺「俺もう話す事ないから」尚人「お前から言い寄ってきて、終わりって勝手過ぎやしないか?」
俺「勝手なのはどっちさ。俺は、ずっとずっと好きだったのに。
俺はヤラレて、遊ばれるだけの存在でよかった。それでも、体だけでも必要とされてるんだって、信じれてたから。
だけど、俺が目の前にいるのにヤル約束するって、どうさ?
どんだけ傷つけるのさ?
お客さんならいい。仕事だから。
だけど、セフレとなんておかし過ぎる」
俺は一気にまくし立てた。これまでに鬱積していた感情が堰を切った様に吐きだされた。
尚人「、、」
俺「俺、今まで付き合って欲しいって言ったか?ずっと我慢してたんだぞ」
もう涙でグチョグチョだ。尚人「、、」
俺「でも尚人が、尚人が、一言淋しい、ってもらしたから、俺は耐え切れなくなって、付き合って欲しいって告った。振った。
それだけじゃなく、追い撃ちをかける様にセフレとヤル約束って、どういう神経して、、」 「うるせー」
俺は、吹き飛んでいた、、