そこで淡々とチラシを配っていると
横から
「軟式野球部でーす!!お願いしまーす!!」
と元気の良い声が聞こえてきた。
ふとその声のする方へ顔を向けると、○○大学軟式野球部と書かれたユニフォームを着た集団がチラシを配っていた。
その集団の中で一際、輝く爽やかな人がいて、自分がチラシを配っていることも忘れて見つめてしまった。
お洒落な短髪で日焼けして浅黒いみずみずしい肌。
口角の上がった口元、シャープな輪郭、
スッと通った鼻筋、吸い込まれそうな優しそうな目。
背はそんなに高くないけどスタイルが良くて
必要な部分に必要なだけ程よく筋肉が
ついているのがユニフォームの上からでもわかる。
カッコイイと可愛いと爽やかが絶妙なバランスでミックスされた子だった。
俺があまりにもじっと見たせいで視線に気付いたのだろうか目が合った。
そしたらその子が目を細めて口角を上げて爽やかな笑顔を向けてくれた。
俺は緊張して目を反らしてしまう。
凄いカッコイイ子だなぁ…。何学部の子なんだろ。
仲良くなりたいけど…。接点ないし無理だろうなぁ…。)
なんて考えながらチラシを配り自分の持っていたチラシを配り終わったので、友達のところに戻り、また違うところで配り、今日の勧誘の時間が終了した。
俺の大学は新歓の時期に勧誘していい時間帯が指定されているのだ。
それからサークルのメンバーでファミレスで夜遅くまで会議して、明日の分のチラシを作ったりして帰宅した。
会議中も今日見たあの子が頭から離れなかった。
ちなみ学校の近くで一人暮らし。
実家はそんなに遠くないけど、親戚が不動産関係で広めの
1LDKを破格の家賃で借りれることになったからだ。
オートロックを解除して部屋に入りドアを締める。
朝からの勧誘に疲れてシャワーを浴びる元気もなく
親が、彼女ができたらシングルベッドじゃキツイでしょうと
無理やし買ってもってきたダブルベッドに倒れ込む。
大体、女なんて興味ないっつーの。
彼氏だっていないのに。