いつも朝7時の電車の三両目に乗っている彼のことが気になる。
いつも日本経済新聞を読んでる
会社員の人なのかな?
僕は彼の向かい側にいつも座る
これが決まりみたいになっている
朝の楽しみでもある
彼は細川茂樹を若くしたような端正な顔立ちで結構がっしりめの体系をしていて身長も180以上はあるだろう
僕が乗ってから一駅後に降りる
いつも彼を見送る
「いってらっしゃい」
心の中でそう言う
そんな彼をずっと見ているだけの生活から少しだけ距離が近づく事件がおきた
いつものように彼は電車を降りようとした
そのとき
座席に財布が落ちていた
「あっあの!!財布落しましたよ」
僕はとっさに呼び止めた
でも何故か彼は全く振り返らずにそのまま降りた
聞こえなかったのかな?
すぐに降りて追いかけるべきなのかな?
そんなことを考えているうちに電車の扉は閉まった
あっ・・・
どうしよ
結局大学までもってきてしまった
財布を開けると一万円と小銭に、どこかのスーパーのカードとホームセンターのカードが入ってあった
西条 宗太
そう書いてあった
宗太さんって名前なんだ・・・
おまけに保険証まで入ってた
これは返さないと困るよな・・・これを理由に保険証に乗ってる住所を見て届けることにした
もしかしたらこれをきっかけに知り合いになれるかもしれない
そんなことを考えるとわくわくしてきた
僕が乗る駅の一つ前の駅の近くの住所だった
僕は帰りにその住所まで行くことにした
ちょっと驚いた
何?このボロいアパート・・・
何か昔漫画で見たようなボロさ
チャイムを鳴らしてもぜんぜん出てこない
まだ七時前だからか?
僕はしばし待った
すると近くで足音が聞こえた
かえってきた?
僕はドキドキしながらその方角を見ると彼だった