大学生のときプールでの監視員のバイトをしていました。
太平洋に面する松林の中にある比較的小さな市民プールでした。4月に入学してからプールの隣の道を通り大学へ通っていて、6月頃、プールの市民広報掲示板にプールの監視員・清掃員募集のお知らせが載っていました。当時、自分がバイと分かっていて、下心ありで申込をして、採用されました。
監視時の服装は、Tシャツにハーフパンツで、中にはブーメランの競パンを履いていました。ただ、ハーフパンツを脱ぐのは、ロープの片付けの時ぐらいで、水質検査も先輩が、プールサイドから行っていました。競パン姿を眺めることもできず、ただ、夏休みバイトの日々が過ぎていきました。
8月のお盆も過ぎたころ、このバイトのリーダー的な存在の一樹さんが、片づけをしながら、俺に話しかけてきました。
「小野君(俺のこと)って、いっつもおとなしいね。あまり、他の奴とかと喋ってないし。」ロープを片付けて、競パンで、プールサイドに上がってきたので、思わず凝視しちゃいました。
「いや、別におとなしいって言うか、初めてバイトをするし、どうしていいのかわからなくて。」俺は、実際、高校は進学校で、バイトはできなかったし、あまり友達づきあいが上手いほうでもなかった。「下宿は、ここから見えるぐらい近いんですよ。バイトするなら近いほうがいいと思って。」俺は、バイトの面接みたいに答え続けた。
すると一樹さんが、「そんなに近いんだ。30分休憩の時に、みかけないけど、アパート帰ってんの?」と聞かれ、俺は、抜け出してるのヤバイかなあと思いつつ、「すいません。休憩時間なんで、戻ってもいいかと思って。」と言ったら、一樹さんは笑って、「いいって、全然問題ないって。ただ、見かけないからどうしたんかなあって思ってね。そんなに近いなら今度お邪魔してもいいかな?」俺は、大歓迎で「是非遊びに来てください。大学から遠いんで友達も来てくれないんです。」その日は、片づけを終えて帰りました。