続きです。
夏休みの夜。
いつものように筋トレとかをしているとチャイムが鳴った。
時刻は9時。
近所付き合いは悪くはないが、こんな時間に話にくるほど仲の良い人もいない。
圭介も今日は家だし。
誰かと思ってドアを開けた。
「こ…こんばんわ…」
猛だった。
背中には大きなリュック。
エナメルのバッグも肩から提げてる。
家出…?
取り合えず家の中に入れた。
リビングに案内し、お茶を出す。
「す…すみ、ません」
いつものように挙動不審。
「圭介クンに聞いて…その…家を。えと、ご迷惑だったら帰ります。でも、その…なんていうか…」
初めてこんな話す猛を見た。
圭介が何か言ったのだろうか。
「まずは落ち着け。ほら、お茶飲んで」
「い、いただきます」
震える手でカップを持ちお茶を飲む。
「お、オイシイです」
お世辞なのがバレバレだ。
紅茶より緑茶のほうが良かっただろうか。
まぁ、客用の少々高いモノなのでそのままにするが。
「で?なんでこんな時間にそんな大荷物で家に?」
「あ、えと…。僕の家庭のこと、圭介クンから聞きましたよね?」
「あぁ」
「それで、その…。ぱ…父が帰ってくるから、その間、先生の家に泊めてもらいたいんです」
「ご家族の方には?」
「おとうさんにもおかあさん言いました。友達の家に泊まるって」
なんとなく。
おとうさんとおかあさんの言い方が恭しかった。
「…何日だ?」
「え?」
「何日泊まるんだ?」
「み、三日間、泊めていただければ」
「わかった。父親が帰ったらお前もちゃんと家に帰れよ」
「あ、ありがとうございます!」
実に馬鹿だな、俺。
圭介には、今度泊まりにきたときにキツくお仕置きしなくては。
持ってきた物の中には着替えやバスタオル。
貴重品や携帯ゲーム機。
お菓子や飲み物。
そして…。
「ゴムはいらんだろ」
しかも3箱も。
「だって…圭介クンが…」
顔を赤らめる猛。
余計なことを言いやがって。
「先生、本当にその…えと…」
「言えないなら言わなくてイイ」
頭が痛くなりそうだ。
「す、すみません」
どんな妄想やら嘘を吹き込んだのだろう。
今度本人から聞きだしてやる。
「で、先生。僕、やっぱり先生と一緒にお風呂に入って同じベッドで寝なきゃなんでしょうか?」
「別々だろ」
「僕が一人でいたら無理矢理…」
「それはないから安心しろ」
「少し残念です」
「なんでだよ」
そんな話をしてたとき、猛の腹がグゥと鳴った。
「まだ食ってなかったのか?」
「はぃ…」
そういや、家まで何できたのだろう。
チャリは無かったが、歩くには遠い気が…。
いや、きっと歩いたんだろうな。
タクシーを利用するわけないし。
大荷物でバスに乗るわけもないし。
圭介の家から俺の家まで約5キロ。
圭介の家から猛の家まで約4キロ。
つまり約9キロも歩いたのか。
よくやるな。
圭介と体格同じくらいなのに。
こんな荷物持って。
俺には無理だな。
「すみません…」
そう言って袋から取り出したカロリーメイトを食べだす。
「そんなんでいいのか?」
「これが僕の食事ですから」
「普段も?」
「一人のときは」
お茶を飲みながら食べる。
俺からしたらおやつ…ではないが、小腹が空いた時に食べるくらいだ。
食事ではない。
それぞれ差ってあるなぁ…と、この年で実感した。
「先生も食べますか?」
「いや、いいよ」
この時間に食べるのはちょっと…。
「そうですか」
それから黙々と食べ、すぐに一箱平らげてしまった。
「先生、女性経験あるんですか?」
「まぁ…一応な」
別々に風呂に入り、歯磨きも済ませ、今は書斎で猛がパソコンをいじっているのを見ていた。
「彼女?」
「当たり前だろ」
「好きな人としかしないんですか?」
「そう…でもない」
「先生、普段こんなの見てるんですね」
画面には動画サイトが。
「ばっ!」
「見せてもらえませんか?僕の家、自分のパソコンってないから自由にできなくて」
「ったく。しょうがないな」
「ありがとうございます」
俺は本でも読んでいよう。
「ぁ…」
いつの間にか寝ていたようだ。
猛は下を脱ぎ、イチモツをしっかり握っていた。
チンコ触った手でパソコンに触れるなっては、まぁ、自分もしながらパソコンいじるから妥協しよう。
だが、ここでするってのもなぁ。
「どうかと思うよ」
「せ、先生」
すぐにズボンをあげる猛。
気付いてなかったのか。
「す、すみません。我慢できなくて」
猛が見ていたのは、俺がパソコンに保存しておいたハメ撮りやお気に入りの動画や画像だった。
「先生の見てて…」
紅潮した頬。
泣き出しそうな幼い瞳。
軽く天然パーマな髪。
何か言っていたが聞こえなかった。
「寝室行こ」
こいつは俺を見て興奮してた。
こんなに可愛い奴が…。
いますぐ俺のモノにしたい。
そんな想いで、半ば無理矢理寝室に連れてゆき、ベッドに押し倒した。
続く。