諸事情でパソコンから続き書きます。
その日は珍しく残業で8時半過ぎまで残っていた。
校内の見回りなんて面倒なことだが任せられたからにはやるしかない。
あまり夜の校舎を歩きたくない。
行きたくはなかったが、人体模型や気持ち悪いモノがある理科室にも向かった。
「…押さえろ…」
「…たらヤバくね?」
「…なさい…して…」
中から聞こえた人の話し声に少しビビったが、生徒の声らしいので堂々と中に入った。
「もう下校時間過ぎてるぞ」
真っ暗だったので明かりをつけた。
「やべっ」
「逃げるぞ」
3年の不良生徒2人が逃げて行った。
名前を覚えてないから確認しなくては。
残りの1人の顔は確認しなくても良かった。
「せ…せんせ…」
圭介だった。
ワイシャツはボタンが取れ、半ば脱げてる。
ズボンは脱がされ、トランクスは片足から外され、右足首に引っ掛かっている感じだ。
「ば、ばか!見んなよ!変態かよ」
圭介は笑ってトランクスとズボンを穿いたが、ワイシャツのボタンが取れてしまっているためどうしようかと困ったような、泣きそうな表情だった。
「先輩に目ぇ付けられてさ。ほら、こんな髪だし。喧嘩売られたから買ったわけよ。男として逃げたくねぇし。そしたらこうなったわけ」
聞いてもいないのに勝手に解説した。
「マジビビった。いきなり押さえられてシャツ…無理矢理…」
とうとう我慢できなくなったのか泣きだした。
「なんで泣いてんだろ?カッコワリィ…」
「いいから。ほら、立てるか?」
「大丈夫…」
立とうとするが、足が震えるのか、力が入らないのか、まったく立てなかった。
「しょうがないな」
俺は背中を向けてしゃがんだ。
「ん…さんきゅ」
男子高校生を背負うなんて思わなかった。
頑張って教室に運びジャージを着せた。
「家に親御さんは?」
「なんで?」
「連絡、しなくていいか?」
服装が服装だから車で送ってもらったほうがいいと思ったから。
「誰にも言わないで。先生、お願い」
「やったやつらには?何もしなくていいのか?ちゃんとそれ相応の処分されるぞ?」
「いいの。それより先生。今日、先生の家に泊まっちゃダメ?」
「はぁ?」
いきなりのことに困った。
「今日、親いなくてさ。俺、料理できるよ?だから…ね?」
「親がいないからって…」
「大丈夫。明日の夜だって帰ってくるか分かんないし。あ、それとも先生が俺の家に泊まる?」
「いやいや。ったく…誰にも言うなよ」
「つまり…?」
「家に来い。でも、汚いからな」
一人にするのは不安だったし、いろいろと話が聞きたかったから俺は家に来るのをOKした。
でもまぁ…さっきまで泣いてたのに「ありがとう」なんて笑ってくれたから良しとしよう。
続く。