高校の教師をして初めてのとき。
俺は副担を任されました。
副担って言っても担任の仕事手伝ったりで、クラスと関わることは少なかったです。
その高校は結構マジメな学校でしたが、それでもイジメなどの問題がありました。
夜9時頃。
帰る前にトイレに行こうと思い、見回りついでに離れたトイレに入りました。
「うぅ…ぅ…」
電気が消えて真っ暗なトイレで泣く声がして、俺はマジでビビりました。
だけど、意を決して電気をつけて個室に近づきました。
「……」
近づいてみて分かった。
戸がガムテープでつけられてることに。
俺は急いでガムテープを剥がした。
「ガムテープ剥がしたから出て来て。大丈夫だから」
なるべく優しく話しかけた。
すると戸が開き、中から知ってる顔が出てきた。
中原理音(リオン)
目立つ名前だからすぐに覚えた。
俺のクラスの子だ。
引っ込み思案で、いつも本を読んでる。
だけどクラスの人と普通に話してたのに…。
「せん…せぇ…」
俺に抱きついて震えながら泣く理音。
「よしよし。なにがあったか話せるか?」
「わかん、なぃ。急にトイレに入れられて、それで…うッ」
俺から離れてまた個室に入ると嘔吐した。
何度も吐き、胃の中が空になったのか落ち着いたようだ。
「まずは職員室に行こ。担任の先生も残ってたし」
「やだ…行きたくなぃ」
「でも言わなきゃまたされるかもだよ?ね?」
俺は頭を撫でてやろうとポンッと頭に手を置いた。
「いやッ」
手が振り払われた。
「ご、ごめん」
「ぁ…スミマセン…」
もう遅いので、家まで送ることになった。