いろんなコメントありがとうございます。店の改装期間中ぐらい早く寝ればいいんだけど、生活習慣って中々なおんない…笑 続き書きます。
「いらっしゃいませ〜。ヒカルー!ナナ様いらっしゃってるぞ」
忙しい時間帯を過ぎて、平日の遅い時間。お客さんもまばらになってきて待機ルームに居た俺を店長が呼んだ。
入口には常連の女の子。23歳でキャバ嬢のナナちゃんが居た。
「ヒカル!」
「ナナちゃん、久しぶり」
笑顔で出迎えると、同じく笑顔でナナちゃんが抱き着いて来た。
ナナちゃんの後ろには友達が二人。
「ナナ、今日は友達連れて来たんだよー?偉い?」
「ありがとう。初めての人達だよね?他に誰か指名とかある?ないならフリーでつけるけど」
「ミカ、人見知りなのよー!だからケンジ君とかいいんじゃないかな?あと真理子はー……」
「ナナさん、私あの人がいいです」
真理子ちゃんと呼ばれた女の子が指をさした先に居たのは、マサトだった。少しドキっとした。
「ケンジでぇっす!よろしくねー」
「ご指名ありがとうございます。マサトです」
全く正反対の挨拶で二人がテーブルについた。位置的に左からケンジさん、ミカちゃん、俺、ナナちゃん、真理子ちゃん、マサト。
話は新入りマサトの話に……。
「マサト君って超爽やかだよねー!」
「よく言われます。無駄に爽やかって(笑)」
ナナちゃんの言葉にマサトが返し、笑いを誘う。
「俺も爽やかー!!」
「ケンジくんは、ヒゲでもぅ胡散臭いー」
「ミカちゃん、それなくない!?俺のトレードマークなのにー!ひでぇーよー」
ミカちゃんのツッコミに一同爆笑。
「ヒカルは爽やかとも違うしねー?」
「…ナナちゃん、それどういう意味?」
「えー、だってー、ヒカルはなんかアヤシイ感じ!なんか人間臭さがないよねー」
「えー!?ヒカルちゃん、人間じゃなかったん!?」
「ケンジさんは黙っててください」
ケンジさんがいちいち茶々入れてくるせいで話が進まない。
「なんかーヒカルがオニギリとかおでんとか食べてるの想像出来ないしー」
「ナナちゃん…俺、どこの王子様よ?」
「あーでもー俺もお前が庶民的なもん食ってるの見たことなーいー」
(何で俺の食の話になってんだろ……ケンジさんもノリノリだし。庶民的な食べ物って…カップ麺生活だった俺に言うか…)
そんな中、マサトが堪えるように笑い出した。ケンジさんが不思議そうにマサトにツッコむ。
「マサトー!何笑ってんだよー!!幸せは分かち合えよ!」
「いや、この前ヒカルさん、うちに泊まった時に朝飯にウインナーをタコ型にしたら、すっげー感動してたから…それ思い出して」
「ちょ、そういうこと言うなよ!俺のイメージが…」
焦る俺とは違い、みんなびっくりした顔で俺を見てる。
(なんだ………?)
そんな中、1番に口を開いたのはナナちゃんだった。
「えー!?ヒカルとマサトそんな関係だったの!?」
(はい!?)
ポカーンとしてるマサト。瞬間、俺は、ナナちゃんは俺がバイって知ってるんだ、ってことを思い出した。
(やばい!マサトにばらされたら)
風呂も一緒に入ってるし、同じ布団でも寝てるのに…。軽蔑されるに決まってる。
「え!?え?そんな関係って何ですか?」
マサトが笑いながらナナちゃんに聞き返す。笑ってるけど、その表情は戸惑い顔。
「ちょ、ナナちゃ……」
「だって、ヒカル、男も大丈夫じゃーん」
(…最悪………)
何とかごまかそうとしてみるけど、今まで大して隠して来なかっただけに言い訳が思い付かない。
マサトは硬直してる。
(絶対ひかれた…)
「えー!?そうなの!?ヒカル君」
「あ、あぁ…まぁ…」
「だってナナ、絶対ヒカルとケンジ君できてると思ってたもん!」
「え!?何で俺が出てくんの!?」
「だってーよくじゃれあってるしー!ケンジ君のヒカルを見る目がヤラシイんだもん。でも、ヒカルはナナのだからあげないよ!」
「何なにー!?ナナちゃん俺にライバル宣言!?その挑戦受けたー!」
「えー!?ケンジ君認めちゃうんだ」
「否定はしませんよー!俺とヒカルはもう、ABCを通り超しちゃった仲だからさー」
ナナちゃんとケンジさんの討論に入り込む気力がなかった。マサトは笑ってるけど明らかに顔の筋肉で笑ってる感じ。
「えー、でも、ナナちゃん、俺よりライバル視しないといけない奴がいるんじゃない?」
ケンジさんの声で、みんながマサトを見た。
「え?」
「そうだよー!マサト君、ヒカルと何もないよねー!?」
ナナちゃんの言葉に苦笑いのマサト。その苦笑いを見るのが辛かった。
「ナナちゃん、俺にも好みはあるから」
「マサト君は好みじゃないの?」
「可愛い後輩だけどタイプじゃないよ」
「あー、でも、たしかにケンジ君とは全然タイプ違うもんね」
「…なんでケンジさんが基準なんだ…?」
そんなんで話は終わった。その後の話はよく覚えていない。ただ、マサトの顔を見ることは出来なかった。