その日から、俺とマサトの距離はかなり近づいた。と言うのも俺がカップメン中心の生活をしてることがばれて、夕方大学から帰って来たマサトの作った夕飯を一緒に食べて仕事に行くようになったのだ。
仕事が終われば一緒に風呂に入りに行き、マサトの家に泊まりに行くことも増えた。
そんな間でわかったマサトのこと。
下に弟妹が六人の七人兄弟の長男。映像関係の仕事につきたくて専門の大学にいったものの、学費や生活費は自分でまかなわないといけない。しかも実家に仕送りまでしているらしい。
昔から兄弟の面倒を見てたから家事は一通り出来る。面倒見が良く、不規則な生活をしていると怒られる。
あんまり人に面倒を見てもらった経験のない俺は、マサトに世話を焼かれる度にマサトの新しい顔を知る度にどんどん好きになってた。
マサトがホストとして働き始めてから一ヶ月が過ぎた。
その日、早めに目が覚めた俺は、前からマサトが話してくれてる大学というものに興味があってマサトの大学に行ってみた。
ちょうど昼休みなのか食堂のようなホールでは学生が弁当やら学食やらを食ってる。
そんな中、俺はすぐにマサトの姿を見つけた。座ってても頭一個飛び出てるマサト。友達七人と年齢相応の笑顔を見せてる。
(女の子もいる…)
マサトが女の子と話してるのなんて店で嫌って程見てる。でもそれはあくまでもお客さん。今のマサトは違う。なんかそんな当たり前のことにショック受けてる自分が居た。
俺がぼーっと突っ立ってると、マサトが俺に気付いて驚いた顔で近寄って来た。
「ヒカルさん!?どうしたんですか!?」
「いや…暇だったから…」
「連絡くれたら良かったのに…」
(メーワクだったかな…)
困ったように笑うマサトにそんな感情が沸き上がる。
「おい!マサト!友達かー!?」
「紹介してよー」
マサトの友達がそう言ってくれ、俺も昼食に混ぜてもらうことにした。マサトの友達はみんな明るくて、すぐに打ち解けた。
「ヒカルさんって俺らの一個上なんすかー!見えね〜。大人っぽいっすね」
「マサトとどういう知り合いなんですか?」
「あ、家が隣なんだよ」
「マサト、迷惑かけてないですかぁ?」
「…むしろ俺の方が迷惑かけてるかな…」
「あはは!マサト世話やきだもんね」
「や、やめろよ、理香」
《理香》と呼ばれた女の子が1番マサトと仲が良い気がした。笑顔が可愛い小柄な女の子。よく笑って、よく喋って、マサトによく触ってた。
(俺とは…なにもかも違う……)
昼食は楽しかったけど、俺の心はずっとモヤモヤが晴れなかった。