かつてバンコクのスクムビット通りをやや進むと、高層のサウナ:オベリスクがあった。当時バビロンと双璧をなしていた有名なサウナである。
そこから、話は始まる。
高校時代、部活にあけくれ、ろくに勉強をしなかった俺は卒業後、行き場を失った。出来る事といえばBクイックくらいか。185p80kgのガタイで、センターのポジにいたが、横の動きが遅く、センスのなさは自分なりに気付いていた。それでも、頑張ってはいたが。
合宿は楽しかった。
毎回、180p以上ある男がひしめき合って、浴槽に入る。俺は自分がゲイだと自覚していたが、おくびにも出さなかった。狭い浴槽で身体が触れ合ったり、チンポで遊び合う後輩を眺めている自分の感情を違う自分が抑制していた。俺のチンポは部活内でも目立ってデカかったので、よく触られたり、タプタプされたりしたが、自由に遊ばせていた。内心では、嬉しかったが、無関心を装うそんな奴だった。
部屋でも同じようなもんだった。特に夏場は、トランクス一丁で過ごすから、寝転んでいるとトランクスの横からチンポを引っ張りだされて、遊ばれていた。俺はやめろとも言わず、笑顔で泰然としていた。デカマラは遊び道具にされやすいのは中学生の頃から分かっていた。
デカくて、優しくて、動じない先輩というキャラを演じていたから、高校の部活では、そこまでで何があったわけでもなく、卒業を迎えた。
行き先を失った俺は、雑誌を読んだ事がきっかけで、タイに行ってみようと思い、安い航空券を買い、ドン ムアン空港に降り立った。