駅の中央口から入ってすぐに、その男はいた。グレーのスーツに大きなサングラス。
メールで知らされていた特徴通りの装いで身長も高く、男はとてつもない存在感を放っていた。
どうしていいか分からず、とりあえず向かいの壁にもたれてみた。
『着きました。目の前にいます。』
とメールを送信。
すぐにその男はケータイをチェックして、すぐに返事を返してきた。
『着いてきて。ちょっと離れて歩いた方がいいかも』
僕がメールを読むとすぐに、男は歩き出した。
男の4、5メートル後ろを歩きながら、やっぱりこのまま帰ろうか、などと迷いだしたが、なんとなくトボトボと着いていってしまった。
人の多い駅前の大きな通りをしばらく歩き、男は一台の車の前で立ち止まった。
「さっと助手席に乗って」
初めて声を聞いたので、男の声と分からず、一瞬動揺した。
男の声は、低くて美しい声だった。
助手席に乗ると、すぐに男が運転席に乗り込んできた。