「え、違うん?」
「…先輩、聞いてくれます?」
随分、深刻な表情なので聞いてあげることにした。
「俺、若葉(←彼女の名前)とキスしたいんです。なのに、まだダメだっていうんすよ。どうすれば…こう…上手くできますかね?」
彼は自分で話していて興奮してきたのか、モジモジしながら足を絡ませてきた。
「そろそろ、ええ頃やもんな…どんな感じでしようとするん?」
俺は毛のないスベスベの長い足に触れられ、思わず勃起しそうになった。
「先輩、すね毛生えててうらやましいっす。俺、全然生えへん…。」
質問を無視されたあげく、嫌味を言われ若干、腹がたった。
急に脈絡もなく――
「俺……エロいんすよ。」
と照れながら、さわやかな笑顔で宣言をされた。
俺は「はぁ…。」としか、返事のしようがなかった。
「なのに俺、このままじゃ我慢できそうにないっす!!」
俺は困ってしまったが、性に飢えているイケメンが可愛く思え、思わず―
「じゃあ、俺で練習してみるか(笑)?」
と言ってしまった。この一言のせいで俺は後々、ヒドイ目に会うことに…。
精一杯冗談めかして言ったつもりが、その後空気がしばらく止まってしまい、気まずくなってしまった。
ひかれてしまったかな…と後悔してたら、そこへ俺と同じ部屋の後輩が戻ってきた。
「おお祐介!何でここ居るん?」
「え?たばこ臭かったからこっちきて先輩と語らっちしててん。ね?センパイ。」
「は…はぁ」
「そや、俺、寝られへんから部屋換わってや!」
「別にええけど、こっちの方が臭いきついんちゃうん?」
「ええねん!先輩がみっつぁん(←後輩の名前)より俺の方がええねんて!」
「言ってねぇ!」
俺はさっきの気まずさがあったから、彼に元の部屋に戻って欲しかった。
にもかかわらず――
「ちぇっ…先輩が言うなら仕方ないですね(笑)」
とヤツも悪ノリしてしまった。
「だろ?わかったらホラ、荷物まとめて出てけよ!」
とヤツの背中を入り口まで押していった。
「お、おい!」
「センパイおやすみなさーい!」
俺はまた一人になってしまった。